【W杯でのPK戦を写真とデータで振り返る】息詰まる11メートルの戦い

2014年07月06日 サッカーダイジェストWeb編集部

さまざまなドラマを生み出した25回の「究極の対決」。

11メートルの心理戦。かつては「決まって当たり前」というPK戦は、現在ではGKの技術向上などで、キッカーにとってはより心理的に厳しい戦いとなった。ちなみに25戦中、16戦で先攻のチームが勝利している。 (C) Getty Images

 両チーム5人ずつが11メートルの距離でGKと対決するPK戦が、ワールドカップ本大会で初めて実施されたのは1982年スペイン大会だ。予選では、78年のアルゼンチン大会が初めてで、アフリカ予選のチュニジア対モロッコ戦で行なわれ、チュニジアがそれを制して2次ラウンドに駒を進めている。
 
 PK戦とは、あくまでも次ラウンドへ進むチームを決める手段であり、記録上は引き分けとなる。120分の激闘(凡戦もあるが)の末に行なわれ、それまでの流れに関係なく2チームの明暗が分かれることから、「理不尽」「残酷」といった言葉で形容される、いまだ賛否両論の決着方法だ。
 
 かつては決着がつくまで延長戦を繰り返したり、再試合が組まれたりしたが、現在では日程的にも選手の体力的にもそれは不可能だ。かといって、以前に採用されていた抽選での決着では、ただ時の運に頼るだけであり、スポーツらしくない。そういう意味では、PK戦はベストではないかもしれないが、現時点では妥当な手段だと言えるだろう。
 
 さてワールドカップ本大会でのPK戦は、前述した82年スペイン大会の準決勝、西ドイツ対フランス戦から、今大会の準決勝まで、計26回が行なわれた。さまざまなドラマを生み出した11メートルの戦いの全てを、ここではデータと写真で振り返ってみよう。
 
【写真で振り返る】ワールドカップの全PK戦
 

◆1982年スペイン大会
 
準決勝:西ドイツ 3(5PK4)3 フランス
先攻:フ=ジレス○、アモロ○、ロシュト○、シス×、プラティニ○、ボッシ×
後攻:ド=カルツ○、ブライトナー○、シュティーリケ×、リトバルスキー○、ルムメニゲ○、ルベッシュ○
GK:フ=エトリ ド=シューマッハー
 
◆1986年メキシコ大会
 
準々決勝:フランス 1(4PK3)1 ブラジル
先攻:ブ=ソクラテス×、アレモン○、ジーコ○、ブランコ○、ジュリオ・セザール×
後攻:フ=ストピラ○、アモロ○、ベローヌ○、プラティニ×、フェルナンデス
GK:ブ=カルロス フ=バツ
 
準々決勝:西ドイツ 0(4PK1)0 メキシコ
先攻:西=アロフス○、ブレーメ○、マテウス○、リトバルスキー○
後攻:メ=ネグレテ○、キラルテ×、セルビン×
GK:西=シューマッハー メ=ラリオス
 
準々決勝:ベルギー 1(5PK4)1 スペイン
先攻:ス=セニョール○、エロイ×、チェンド○、ブトラゲーニョ○、ムニョス○
後攻:ベ=クラエセン○、シーフォ○、ブロース○、ヴェルヴォールト○、L・ヴァン・デル・エルスト○
GK:ス=スビサレータ ベ=プファフ
 
 
◆1990年イタリア大会
 
決勝トーナメント1回戦:アイルランド 0(5PK4)0 ルーマニア
先攻:ア=シーディー○、ホートン○、タウンゼント○、カスカリーノ○、オレアリー○
後攻:ル=ハジ○、ルプ○、ロタリウ○、ルペスク○、ティモフテ×
GK:ア=ボナー ル=ルング
 
準々決勝:アルゼンチン 0(3PK2)0 ユーゴスラビア
先攻:ア=セリスエラ○、ブルチャガ○、マラドーナ×、トログリオ×、デソッティ○
後攻:ユ=ストイコビッチ×、プロシネツキ○、サビチェビッチ○、ブルノビッチ×、ハジベギッチ×
GK:ア=ゴイコチェア ユ=イブコビッチ
 
準決勝:アルゼンチン 1(4PK3)1 イタリア
先攻:イ=バレージ○、バッジョ○、デ・アゴスティーニ○、ドナドーニ×、セレーナ×
後攻:ア=セリスエラ○、ブルチャガ○、オラルティコエチェア○、マラドーナ○
GK:イ=ゼンガ ア=ゴイコチェア
 
準決勝:西ドイツ 1(4PK3)1 イングランド
先攻:イ=リネカー○、ベアズリー○、プラット○、ピアース×、ワドル×
後攻:西=ブレーメ○、マテウス○、リードレ○、トーン○
GK:イ=シルトン 西=イルクナー

次ページ今夏すでに3度目。あと何度11メートルの対決は実現するか。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事