【横浜】PK直前にGK飯倉大樹がパトリックに歩み寄り…「片言の英語で」なんと言った?

2018年08月02日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

青山のPKは咄嗟の判断で見事にストップ!

終わってみれば痛恨の4失点で大敗。だが、青山のPKストップ以外にも、飯倉は好守を連発していた。写真:田中研治

[J1リーグ19節]横浜1-4広島/8月1日/ニッパツ
 
 プレーが再開されるまでのほんの短い間のことだった。横浜のGK飯倉大樹は、PKスポットでスタンバイする広島のエース、パトリックに歩み寄って何やら言葉をかけていた。
 
 前半のアディショナルタイム、広島はPKのチャンスを得たが、青山敏弘のシュートは飯倉のファインセーブの前に失敗――ところが、PKのやり直しが宣告される。飯倉がゴールラインから前に飛び出して防いだことが、その理由だった。
 
 横浜の選手たちは納得がいかず、主審やゴールライン上にいた副審に詰め寄る。その輪から離れていた飯倉が、冒頭で記したとおり、青山からキッカーを譲り受けたパトリックに話しかけていた。
 
 いったい飯倉は何を言っていたのか。
 
「ラッキーだね、って片言の英語で話しかけて。ちょっとでも油断や隙でも作ろうかなと思ったけど。まあ、(パトリックは)上手かったね。その手には乗らなかった。普通に、最後まで俺のことを見ていて、俺の動きとは逆(の方向)に、軽く転がすぐらいの感覚で蹴ってきた。ブラジル人はそういうのが上手い」
 
 パトリックとの一騎打ちには勝てなかった。もっとも、やり直しになってしまったとはいえ、青山のPKストップは見事の一言だった。そこでの駆け引きには勝ってみせた。完璧に読み切った。
 
「本当は、俺から見て、左に飛ぼうと思っていた」
 
 実際は、飯倉は右に飛んでシュートを弾き出している。ほんの数秒の間にどんな"心境の変化"があったのか。
 
「ちょっとタイミングをずらされた瞬間に、たぶん、あっちかなと切り替えていけた」
 
 たしかに青山は助走で一度、スピードを落としている。それを見た飯倉は瞬時に考えを変えて、右に飛んで完璧なセービングを見せた。
 
 このシーン以外でも、24分の柏好文の際どいミドルや、31分の渡大生のコースを突いたヘディングシュートを、飯倉は軽やかに身体を伸ばして防ぎ、チームを助けている。
 
 終わってみれば、GKとしては痛恨の4失点を喫して横浜は大敗した。ただその一方で、見ている側としては飯倉の非凡なセンスと能力の高さを堪能できたのも事実だった。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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