異次元のイニエスタは何を考えてプレーしていたのか?「いろんなフェーズのなかで常に…」

2018年07月29日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「うちのチームにはウイングに速い選手がいる」

イニエスタは繊細なボールタッチで何度も観客を魅了した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ18節]神戸1-0柏/7月28日/ノエスタ
 
 アンドレス・イニエスタの魅力が溢れていたゲームだった。
 
 7月29日、J1リーグ18節の神戸対柏がノエビアスタジアム神戸で行なわれ、ホームの神戸が1-0で勝利。この試合ではイニエスタが神戸に加入後、初スタメンを飾った。
 
 元スペイン代表MFは6分、後ろから来た浮き球のボールを絶妙なタッチでピタリとコントロールし、さっそく会場を沸かせた。そこから、徐々にパスをもらう回数を増やし、ゲームメイクをしていく。
 
 すると、22分にはウェリントンとのワンツーから局面を打開してゴールに迫ると、前半終了間際には中央からダイレクトで増山朝陽にスルーパスを送る。どちらもゴールには繋がらなかったものの、ボールを受ける前に首を振って周りの状況を確認しており、一瞬の判断が光ったパスだった。
 
 後半もイニエスタは郷家友太や増山、両SBなどがスペースに走れば、絶妙なスルーパスを送り続けた。チャンスを演出するだけでなく、世界的な名手のタッチ数が多くなるほど、ボール支配率が高まっており、その存在感は絶大だった。
 試合後、攻撃を牽引してチームの勝利に貢献し、イニエスタは喜びを露わにした。
「まず、とても嬉しい気持ちです。勝つということはチームとしても良いことで、最初の勝利を迎えられて良かったです。個人的にも練習を重ねていくなかで、コンディションがどんどん上がっているので、そういう意味でも良い方向に進んでいます。初めての勝利を体験することが出来たので、本当に特別な日になったと思います」
 
 さらに、自身のプレーについても振り返ってくれた。
「試合にはいろんなフェーズ(局面)がある。ボールを保持するフェーズだったり、裏にパスを出すフェーズがあるんですけれども、うちのチームにはウイングに速い選手がいるので、スルーパスを(多く)出しました。常に最善のオプションを選ぶことができたと思います。先ほども言ったように、今日は勝点3を得ることができて、本当に喜んでいます」
 
 イニエスタは常に局面を把握しながら、最善のプレーを選択することを試合のなかで考えていたようだ。だからこそ、たくさんのチャンスに絡み、自らのパスでゲームをコントロールできたのだろう。
 
 コンディションが上がって柏戦で好プレーを見せ、「チームとの感触は非常にポジティブ」。そう語るイニエスタは、まだまだ観客を魅了してくれそうだ。

【神戸 1-0 柏 PHOTO】イニエスタ先発出場の神戸、増山朝陽のゴールでノエスタ大歓喜!
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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