【FC東京】丹羽がデビューも長崎に完封負け。次の鹿島戦で連敗してしまうと…

2018年07月28日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

逆に速攻に苦しめられるとは

丹羽(5番)の“デビュー戦”となった長崎戦でFC東京は黒星。ただ、こういう試合もある。写真:徳原隆元

 柏戦は主力数人をコンディション不良で欠きながらも1-0の完封勝利を収めると、続く横浜戦はホームで5-2と圧勝。中断期間明けのFC東京は、シーズン前半戦の勢いをそのままに上昇気流に乗りつつあった。「今は負ける気がしない」とDFの室屋成もそうコメントしていた。
 
 しかし、18節のホームゲームは15位に沈む長崎に痛恨の完封負け。シュート数はわずか5本と、前節の5ゴールが嘘のように決定機を作れなかった。「もっとシンプルに自分に預けてほしかった」とは左サイドバックの太田宏介だ。
 
「中、中に行きすぎていた。(左サイドにいた)自分はフリーだったのに、もっとボールが欲しかったですね」
 
 確かにFWのD・オリヴェイラが強引なドリブルで突破口を切り開こうとしても長崎の守備陣は粘り強く対応していた。ある程度のエリアまでは自由にボールを運ばせ、ペナルティエリア付近に迫ってきたら人数をかけて潰す。そういう守りを、この日の長崎は徹底していた。
 
 だからこそ、FC東京はまず左右のクロスで揺さぶりをかけたかった。いわゆる"見せ球"があって初めて中央突破もきいてくるのだ。長崎がしっかりと中央を固めてきた以上、真正面からぶつかる必要など決してなかった。
 
 前半からリズムを掴めなかったFC東京は、中央のエリアで奪われたボールをいくつかカウンターに結び付けられている。今季はファストブレイク(速攻)が持ち味のFC東京が、逆に速攻に苦しめられるとは……。珍しい光景だった。
 
 「高木監督は用意周到ですからね」とFC東京のGK大久保択生が語ったとおり、長崎はFC東京の長所を消すことに成功した。しかも、終盤の77分に少ないチャンスを活かして決勝ゴールとこれ以上ない展開に持ち込んでいる。
 
 とはいえ、この日の長崎がパーフェクトな出来だったかと言えばそうではなく、双方とも決め手を欠いた試合の流れからすると引き分けが妥当な結果だった。しかし、勝ったのは長崎である。つまり、FC東京からすれば不運な敗戦という捉え方もできたわけだ。
 
 いくら好調とはいえ、長いシーズンの中ではこういう試合もある。FC東京にとって、大事なのは次の鹿島戦を引き分け以上に持ち込むことだろう。「もうベクトルは先に向いている」とFC東京でデビューを飾った丹羽大輝が言うように、長崎戦の黒星を引きずる必要はない。
 
 連敗してしまうようなら、そこまでの力しかなかったということになるか。いずれにしても、8月1日の鹿島戦は今季を占ううえでひとつのターニングポイントになりそうだ。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
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