【セルジオ越後の天国と地獄】世界で勝つにはメディアも本来の役割を果たせ

2014年07月04日 週刊サッカーダイジェスト編集部

惨敗は予想外ではない。売り上げ主義の報道が実力を過信させただけだ。

グループリーグ敗退に驚きはない。売り上げ主義のメディアが日本の力を正しく報道してこなかっただけだ。 (C) SOCCER DIGEST

 『週刊サッカーダイジェスト』の人気コーナー「セルジオ越後の天国と地獄」をサッカーダイジェストWebで公開中!
 
※週刊サッカーダイジェスト7.15号(7月3日発売号)より
 
――◆――◆――
 
 勝てばグループリーグ突破の可能性があったコロンビア戦は、1-4の完敗だったね。すでに決勝トーナメント進出が決まっていたコロンビアは、スタメンを大幅に入れ替えて2軍を出してきた。それでも日本はPKで先制点を奪われ、前半終了間際に1点を返すのがやっとだった。
 
 しかも、後半にエースのJ・ロドリゲスが出てくると、完全に劣勢に立たされて次々とゴールを許し、勝負が決まった試合終盤にはGKを交代させられる屈辱も味わっている。この試合の世界各国の報道は、「コロンビアGKのモンドラゴンが、ワールドカップ最年長出場記録を更新」だ。日本は完全に脇役。掛ける言葉も見当たらないよ。
 
 今大会の日本のパフォーマンスを振り返ると、主力の衰えが顕著だったね。4年前からスタメンを張ってきた不動のメンバーが疲れてしまったんだろう。遠藤は1試合も先発していないし、本田もかつてのようなパフォーマンスを見せられなかった。香川もマンチェスター・Uでの不振を引きずるようなプレーに終始していたね。軸に据えてきた選手があの体たらくでは、勝てないのも当然だ。
 
 もっとも、代わりの選手や戦術を用意できなかったザッケローニ監督の手腕は批判されるべきだよ。クラブで出場機会が減っている欧州組を重用し、コンディションが整わないなかでも使い続けてきた。それで新陳代謝が遅れ、チームをブラッシュアップできなかったんだ。メンバーを固定してきたツケを、本番で払わされたわけだからね。
 
 メンバー選考や試合中の采配も含めてザッケローニ監督のマネジメントには疑問が多かった。「感動をありがとう」と情緒的なことを言う前に、彼にチームを任せて良かったのかを冷静に検証すべきだ。
 
 今回のワールドカップの惨敗をどう受け止めるか。それが今後の日本サッカーの運命を決めるよ。日本代表はなにができて、なにができなかったのか。ワールドカップの3試合だけでなく、これまでの4年間を振り返らなければいけない。
 
 日本は1分け2敗で決勝トーナメントに進めず大会を去ったけど、この結果は驚きではないんだ。僕は今までずっと言い続けてきたよね。日本の実力は、グループリーグを突破できれば御の字で、とても「優勝」を口にできるレベルではないと。アジアレベルや興行優先の親善試合で格下相手に勝っていただけなのに、売り上げ主義のメディアが正当な評価もせずに、無駄に盛り上げていた。それにミスリードされたファンが、勝てるものだと勘違いしたんだ。ワールドカップはごまかしが効かない舞台だからね。メディアが隠してきた本当の実力が、露わになってしまったんだよ。

次ページ親善試合での勝利に酔った報道をしているようでは、本来の役割を果たせない。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事