イニエスタを相手に「対策は無意味」。湘南指揮官はワールドクラスの妙技に何を感じたのか?

2018年07月23日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

「特別ではなかった」イニエスタ・デビュー戦。

神戸に快勝したチームを褒めちぎるとともに、曺監督はイニエスタへの想いを明かした。 (C) Getty Images

[J1リーグ17節]神戸 0-3 湘南/7月22日/ノエスタ

 ワールドクラスのタレントであるアンドレス・イニエスタのデビューに注目が集まった一戦、湘南ベルマーレは、ヴィッセル神戸を全く寄せ付けずに快勝を収めた。

 立ち上がりの10分に先制し、48分に反撃に転じる相手の出鼻を挫く追加点、さらに67分にダメ押し点と、完璧な試合内容に湘南の曺貴裁監督も、「本当に素晴らしかった」と手放しで褒めちぎった。

「得点を取った形は全てに意図があって、我々の狙っていたことが選手たちにシンクロしていた。その点でいえば、僕もあまり遭遇したことがないというか、本当に素晴らしかった。こういうことを言うと、普段は選手たちが勘違いをするからという風になるんですけど、その域を越えて、今日は良いものが見れた」

 珍しく自軍をベタ褒めした曺監督は、世間の興味関心がイニエスタに向いているなかで、チームに「特別な指示は与えなかった」。それは対策が無意味だと判断したからだった。
 

「特別な試合でもなんでもない。イニエスタ選手が来るっていうだけで、我々にとっては、勝点3を取りにいく大事な試合の一つにすぎないですから。当然、彼がでてきたらクオリティーは高いに決まっている。一日だけビデオを見せたところで、防げてしまう選手だったらあんな選手にはなっていない。なので、(イニエスタ選手については)話はしなかったです」

 当然、元スペイン代表MFにリスペクトがないわけではない。49歳の指揮官は、日本サッカー界にある風潮を引き合いにイニエスタの凄みを力説する。

「『日本の選手はスペインの選手と体格が一緒だから、スペインのサッカーが合う』とか『参考にすべきだ』とかっていう意見が、少し前によくありましたけど、僕は全然違うことを思っていて、イニエスタ選手の一番良いところは、本当に小さい頃から積み上げた技術と呼ぶにはおこがましい状況判断力です。その力が類まれにあるから、あのレベルでずっとやれてきた選手です。

 あの力を体格が日本人に似ているから、ああいう風にしようと思っても、できっこない。でも、できっこないで諦めるんじゃなくて、日本は日本の特徴を活かしたサッカーをやっていくことが大事だし、何かの真似をしても上手くはいかない」

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