英国人記者がロシアW杯を総括! 「黄金の夏」を謳歌したイングランドにフットボールは帰ってきたのか!?

2018年07月18日 スティーブ・マッケンジー

指揮官サウスゲイトが取り入れた海軍とのブートキャンプが奏功!?

ロシアを舞台に、望外の躍進を見せたイングランド。そんな代表戦士たちへの国内の声は、いかなるものだったのだろうか? (C) Getty Images

「スリーライオンズ」の戦士たちが、称賛に値するベスト4進出を果たしたロシア・ワールドカップの戦いから帰ってきた。

 世界から期待されていなかったであろうイングランドのパフォーマンスは、各国メディアはおろか、私の予想をも遥かに上回るもので、彼らはまさに「黄金の夏」を謳歌したのだった。

 今大会期間中にイングランドで流行ったのは、「帰ってくる、帰ってくる、いよいよ来るぞ、フットボールがホームに帰ってくるんだ」という言葉だ。

 1996年にEUROのテーマソングとしてリリースされたLightning Seedsの曲『Three Lions』の一節を切り取ったものだが、ロシアでイングランド代表の選手たちが躍進を遂げていくにつれて、このワンフレーズを誰もが口ずさむようになっていった。

 老若男女問わず、誰もがワールドカップについて雄弁に語るようになり、4年に一度の採点に沸き立つ国内の様子は、まさしく「フットボールが帰ってきた」と言っていい光景だった。

 前回ベスト4に辿り着いた1990年のイタリア大会以降、イングランド代表はW杯のたびに非難を浴び、高い評価を得ることはなかった。

 スター選手がいなかったわけではない。デイビッド・ベッカムやフランク・ランパード、スティーブン・ジェラード、ウェイン・ルーニー……むしろ、昔の方が現代表よりも華やかだった。しかし、彼らはプレミアリーグの繁栄によって、所属チームで高額な給料を得られることに満足し、代表でのプレーが怠慢になっていた。

 しかし、2016年9月にガレス・サウスゲイトが監督就任を果たしたのを機に、代表チームの中に蔓延っていた怠慢さが一掃された。

 47歳の元イングランド代表DFは就任と同時に、選手たちに謙虚さとリスペクトを徹底的に植え付け、団結心を育ませることに尽力した。そのためには、チームを海兵隊のブートキャンプに参加させることも厭わなかった。もちろん、これには自らも参加している。

「私はエリートである彼らに、もう一つの違う世界もあることを知ってもらいたかった」と語った指揮官の改善策は、結果として功を奏した。代表でプレーすることのプライドも見せ始めていた若手中心の代表は、いつしか国民からの支持を得るようになり、メディアからも余計な批判を浴びなくなっていった。

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