コスタリカ 1(PK5-3)1 ギリシャ|コスタリカが凱歌、初のベスト8へ

2014年06月30日 熊崎敬

グループリーグの勢いを駆り、04年の欧州王者も退ける。

【PK戦 コスタリカ 5-3 ギリシャ】
コスタリカ(先攻)|ギリシャ(後攻)
【1】ボルヘス:○|ミトログル:○
【2】B・ルイス:○|フリストドゥロプーロス:○
【3】ゴンサレス:○|ホレバス:○
【4】キャンベル:○|ゲカス:×
【5】ウマニャ:○

 どちらが勝っても初のベスト8という「歴史的一戦」はPK戦の末、コスタリカが凱歌を上げた。ウルグアイ、イタリアという強豪を立て続けに破り、イングランドとも引き分けたグループリーグの勢いを駆り、2004年のヨーロッパ王者も退けてしまった。
 
 もっとも、ゲームは押されっぱなしだった。
 
 先制点は奪ったが、1対1の勝負にことごとく負け、ボールを前に運べない。グループリーグの疲れも尾を引き、この大会、初めて彼らの試合を見た記者は「これでどうやって、あの厳しいグループを勝ち抜いたの」と首をかしげていた。
 
 先制しながら、終始押し込まれていたコスタリカは66分に退場者を出し、厳しい状況に追い込まれた。専守防衛でかろうじて持ち堪えていたが、ロスタイムにゴール前が混乱し、同点弾を叩き込まれてしまう。
 
 延長戦も立て続けにピンチを迎え、その命運は風前の灯かと思われた。だが、延長後半のギリシャのペースダウンにも助けられ、コスタリカはPK戦に持ち込む。
 
 消耗が心配されたPK戦だが、コスタリカの面々は相手キーパーの動きを見極め、冷静に決めていった。5人全員が成功させ、コスタリカが初のベスト8に到達した。
 
 120分戦い抜いた疲労度と元々の実力差を考えると、準々決勝でオランダに勝つのはさすがに難しいだろう。だが、彼らはこの時点で十分に成し遂げている。これから6日間、夢を見られるというのは、コスタリカの人々にとって無上の幸せに違いない。
 
 この日のアレーナ・ペルナンブーコは、「コスタリカ人ってこんなにいるのか」と地元民も驚いたグループリーグの試合より、ファンが少なかった。「シーセープエデ(やればできる)」の掛け声は小さく、長く続かなかった。
 
 この現象が物語るのは、コスタリカ人自身も決勝トーナメント進出をほとんど考えていなかったということ。しかしチームは苦境を乗り越え、5試合目を戦うところまで来てしまった。
 
 この大会でコスタリカは、国の評判を大いに高めた。それは政府が何億円も投じるより、はるかに効果があるはずだ。
 
取材・文:熊崎敬
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