【岩政大樹】16強の壁を破れるか? 世界で”勝ち切る”戦いはベルギー戦に持ち越し

2018年06月29日 岩政大樹

特徴的だったのは、酒井高の右サイドハーフ起用だ

守備面に特長のある酒井高を右MFでフル出場させたあたりに指揮官の狙いが見える。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

 世界の16強。素晴らしいですね。セネガルとポーランドを抑えてのグループリーグ突破は偉業と言ってもいいでしょう。2002、2010年に続いて3回目の16強進出は、日本サッカーにとってまたひとつ殻を突き破るような結果となったと思います。これからは、グループリーグ突破をより現実的に捉えていく時代に入っていくと思います。
 
 とはいえ、最終戦のポーランド戦は、実に釈然としない試合となりました。勝ち抜けを決めた最後の時間だけでなく、試合を通して、この試合で目指したものがいまいち伝わってきませんでした。
 
 それは暑さの影響が少なからずあったと思います。日本だけでなく、ポーランドの選手もかなり足取りが重そうでした。スローテンポな試合は致し方なかったのでしょう。
 
 ただ、もしかしたら、セネガル戦を観て攻撃的にどんどん仕掛けていくスタイルを追求していくだろうと思っていた私たちと、西野監督はじめ日本代表チームがポーランド戦で描いていたビジョンにはギャップがあったのかもしれません。
 
 西野監督以下コーチングスタッフも選手もプロです。勝ち上がることがすべてだったのでしょう。いろいろな星勘定をして、まずは失点をしないで時計の針を進める。そして、セネガル対コロンビアの戦況を見極めながら、交代カードを切っていく。そんなゲームプランだったのかもしれません。試合後の選手たちの晴れやかな表情と観ていた私たちの感情とのギャップは、ゲームプランのギャップだっただろうと思います。
 
 スタメンは、6人もの変更がなされました。特徴的だったのは、酒井高徳選手の右サイドハーフ起用です。起用に応え奮闘しましたが、攻撃面の不慣れさは各所で見られました。しかし、最後まで交代はしませんでした。

 長谷部選手がスタメンから外れたため、3バックと4バックを併用してくるポーランドに、日本も同じメンバーでどちらにも対応できるという狙いもあったと考えられますが、いずれにしても酒井高徳選手は西野監督の求める仕事をこなしていたということです。であるなら、やはりこの試合は"守り"、バランスを崩さないことを一番に考えていたのでしょう。
 

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