【週刊サッカーダイジェストの目】「意識」を持てなかった日本代表の惨敗

2014年06月26日 原山裕平

格が違ったコロンビア。そしてエースの登場で――。

背後を狙うサッカーでそれなりに善戦していた日本に、いわば引導を渡したのがJ・ロドリゲス(右)。コロンビアのエースに対し、日本はほぼ成す術がなかった。 (C) SOCCER DIGEST

 あまりにも無残な敗戦だった。
 
 4年間の集大成を示すべく臨んだ一戦で、完膚なきまでに叩きのめされる敗北。奇跡を起こすどころか、痛々しいまでの現実を突き付けられた。これが日本代表の限界だった。
 
 前半の戦いを見るにつけ、彼らは本当に真面目なんだろうなと、実感させられた。圧倒的に攻め込んだ45分、日本はロングフィードを主体とし、相手の背後を狙うサッカーを徹底した。

【日本代表photo|大会総括記者会見】
【コロンビア戦 PHOTOギャラリー】
 
 ショートパスをベースとしたサッカーを排除し、シンプルにただひたすらに相手の背後だけを狙い続けた。コロンビアとの実力差を考えれば致し方ない面もあったが、まっとうな戦略でもある。長いボールを蹴り込んで裏を狙い、相手のラインを押し下げる。少ない人数で攻め込み、しかもなるべく自陣から遠くでサッカーをしたい。そんな狙いが透けて見えた。
 
 ただし、そうした戦いを、いかにも実直にこなした点に、日本代表の柔軟性のなさが浮かび上がった。これと決めたら、それだけをやり続ける。徹底と言えば聞こえがいいが、シニカルに言えば単調である。たしかに支配率で勝り、シュートの数でも上回った。とはいえ、決定的チャンスはコロンビアのほうが多く、17分には今野泰幸がPKを献上し、先制点を奪われている。
 
 それでも前半ロスタイムに「カウンター返し」から、内田篤人の持ち上がりをきっかけに、本田圭佑→岡崎慎司とつながり同点ゴールを奪ったことで、望みはつながった。さらに裏カードでギリシャが1-0とコートジボワールにリード、日本の奇跡を予感させる展開となっていた。
 
 しかし、コロンビアは格が違った。そもそもこの日の彼らは、前戦から8人を入れ替えた「2軍」だった。後半に入るとハメス・ロドリゲスを投入し、この背番号10の存在が日本のわずかな望みを、容赦なく打ち消すのだ。長谷部誠はJ・ロドリゲスのプレーに苦しんだことを明かす。
 
「10番は真ん中にいたり、サイドに開いたりして、自由にボールに触っていた。2点目も彼の所からだし……。彼がボールを持っている時に、もっと厳しくいかなければいけなかった」
 
 同じボランチの青山敏弘も、衝撃的だった選手としてJ・ロドリゲスの名前を挙げている。前半はPKとカウンター以外に際どい場面はなかったものの、違いを生み出せるコロンビアのエースがピッチに立った途端、日本はあっという間に劣勢に立たされてしまったのだ。
 
 55分にJ・ロドリゲスのアシストからジャクソン・マルティネスに勝ち越し点を奪われると、日本の勝機はほとんど潰えたと言っていい。今野は厳しい表情で振り返った。
 
「あの10番が入ってからは、前からはめていこうとしても1人かわされてスルーパスとか、結構自由に裏を狙われた。自分たちにとって怖い攻撃をされて、その中で我慢しきれなかった」
 
 そこからは見るに耐えかねる時間が続いた。青山に代えて山口蛍を投入し、「10番対策」を敷いたことに加え、すでに決勝トーナメント進出を決めていたコロンビアが無理をしなくなったために、再び押し込む時間は増えた。だが、それはむしろ彼らにとって願ってもない展開だった。
 
 リスクを負って攻め込む日本を落ち着いてあしらって、鋭いカウンターを次々に浴びせかける。ついには43歳のベテランGK、ファリド・モンドラゴンを投入し、コロンビアのお祭りムードは最高潮に。日本は彼らが描いたシナリオの、まんまと脇役となった。

次ページワールドカップのような短期決戦は追い込まれたら負け。

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