【岩政大樹】ハメス投入が逆効果!日本は巧みにコロンビアの狙いを外した

2018年06月20日 岩政大樹

日本代表の攻守におけるスタートポジションは明確になっていた

ハメス・ロドリゲスは思うようなプレーができず、フラストレーションを溜めていた。(C)Getty Images

 日本代表がロシア・ワールドカップで白星発進しました。強豪コロンビアを2-1で下し、グループリーグ突破という目標が現実的になりました。
 
 サッカーは分からない。本当にいろんなことが起こるな、としみじみ感じるような立ち上がりでした。そして、サッカーとは時間が止まらず、待ってくれないため、心理がどんどん移ろいでいく。そんなスポーツだと改めて感じる試合でした。
 
 開始早々の3分で、コロンビアの中盤の要、C・サンチェスが退場し、さらにPKで日本が先制点を奪おうとは誰にも予想できません。この試合にいろんな想像を巡らせていましたが、このプレーですべてがひっくり返ってしまいました。
 
 ただ、このプレーも巻き戻せば、大迫選手がD・サンチェス選手との競り合いで身体を入れ替えたところから生まれたものでした。このプレーで大迫選手は、トットナムに所属する新進気鋭の若手センターバックに対し「やれる」と感じたのではないでしょうか。
 
 とはいえ、日本代表は、10人になった相手に対し、なかなか思うような展開に持ち込めませんでした。選手たちもこの展開は予想していなかったでしょう。バランスの取り方を迷っているように見えました。試合前には失なうもののなかったのが、退場者が出て、先制点も奪えたことで、失なうものに対する意識が大きくなってしまい、チャレンジとリスク管理のバランスを計りかねているようでした。
 
 ただ、チームとして準備してきた形も見えました。ひとつは、攻守におけるスタートポジションの明確化です。
 
 守備はパラグアイ戦の時のやり方を踏襲し、相手がビルドアップを始めたら、4-4-2のような形になります。香川選手が大迫選手と並ぶ位置まで出て、相手のセンターバックに規制をかけていく。今回のワールドカップでも多くのチームが採用しているバランスの取れた守備のスタートポジションです。
 
 一方の攻撃面は、パラグアイ戦より明確化されていました。ビルドアップを始めたら、吉田選手と昌子選手の間に長谷部選手が下りる。もしくは、吉田選手の右に柴崎選手が下りる。というふたつのパターンを使い分けながら、3-3-3-1のような形で攻撃をスタートしていました。相手に退場者が出た後もまずはこの形を作ろうとしているように見えたので、きっとチームで準備してきたものだと思われます。
 

次ページ日本が後半に定めたポイントは、”キンテーロのサイド”だった

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事