わずか3年で無名から世界的名手に!“陰の男”カンテがW杯デビュー戦で見せた凄み

2018年06月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

1年で移籍金がおよそ4.5倍に!

豪州戦でW杯デビューを飾ったカンテ(左)。3年前の夏、彼は自身のこの姿を想像していただろうか。圧巻のパフォーマンスを披露した。(C)Getty Images

 決して華々しいものではなかった。だが、そのパフォーマンスは期待以上のものだった。フランス代表不動のアンカー、エヌゴロ・カンテ。ついにその成功譚は「ワールドカップ編」に突入し、鮮やかにその第1章で勝利を飾ったのである。
 
 攻守両面で数多の好タレントを揃えるレ・ブルー(フランス代表の愛称)。土曜日のオーストラリア戦、カンテは4-3-3システムのど真ん中に位置し、無尽蔵のスタミナと非凡なプレービジョンを駆使しながら、強烈な個性派集団をひとつの生き物のように機能させた。かつて2000年代に活躍したクロード・マケレレに例えられる汗かき役だが、当のレジェンドは「エヌゴロと僕とで運動量に大きな変わりはないだろう。でもカバーする範囲や攻撃面の貢献度など他の側面では、明らかに彼が上を行く。本当に凄い選手だよ」と脱帽する。
 
 絵に描いたようなシンデレラストーリーだ。フランスの年代別代表とはまるで縁がなく、こつこつと実績を積み上げた叩き上げ。カーンでの奮迅の働きが評価され、目利きのプレミアリーグ・クラブ、レスター・シティに請われたのは2015年夏のことだ。移籍金は700万ポンド(約10億5000万円)とまずまずながら、欧州全体で見れば無名に近い存在で、レスターでも開幕前はセントラルMFの4番手の位置づけだった。だがそこから、サクセスストーリーが始まるのだ。

 
 レスターのクラウディオ・ラニエリ監督に抜擢登用されると、瞬く間に中盤で定位置を確保し、チームの快進撃を支える大きな柱となる。史上初のプレミア制覇を成し遂げた陰の立役者で、2016年3月にはフランス代表からも初めてお呼びがかかった。ディディエ・デシャン監督もその総合力の高さに惚れ込み、そのままEURO2016を戦う登録メンバーに名を連ねた。大会後にはチェルシーにステップアップ移籍し、違約金はなんと3200万ポンド(約48億円)! たった1年で評価額はおよそ4.5倍に跳ね上がったのだ。
 
 チェルシーでも1年目でプレミア優勝に寄与。アントニオ・コンテ監督は「ここまであらゆる要素を持ち合わせたミッドフィルダーを私は知らない。申し分ないんだ」と称える。ラニエリ、デシャン、コンテと酸いも甘いも嚙み分ける名将たちを唸らせ続けてきたのだ。

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