【現地レポート】セネガルが欧州の強国相手に見せた強みと弱み――日本はどう対処すべきか!?

2018年06月09日 中野吉之伴

序盤はクロアチアに苦しめられた守備陣だったが

サールの見事なゴールでクロアチアからリードを奪ったセネガル。試合は逆転で落としたものの、ルクセンブルク戦同様に収穫は多々あったようだ。 (C) REUTERS/AFLO

 様々な点でテスト要素が強かったルクセンブルク戦(5月31日)と大きく違い、強豪クロアチアの一戦では、本大会でもベースとなるであろう主力組でスタメンを組んだセネガル。エースのマネがスタメンに復帰したのは頼もしい限りだったが、一方でキャプテンのクヤテは軽い負傷により、大事をとって欠場した。
 
 序盤、マネとサコの2トップによる4-4-2で試合に入ったセネガルだが、守備プレスの連動性がいまいちで、素早くパスを回すクロアチアに翻弄されてしまう。
 
 特に中盤センターでは、クロアチアのバデリ、ラキティッチ、モドリッチの3人に対して、セネガルはダブルボランチのA・エンディアイエとゲイエの2人だけで対応せざるを得ないシーンが続く。
 
 セネガルは前へ前へとスピードに乗って守備ができている時は勢いがあるし、正対しての1対1となれば、ボール奪取の精度も高い。
 
 だが、相手チームがビルドアップから縦パスを送り込んだり、本来、プレスをかけようとしたエリアにボールが運ばれてきても、あまり全体の距離を素早く収縮させたりはしない。相手が、連動したプレスで一気にボール付近でコンパクトな布陣を作り出し、次々にボールを奪っていたクロアチアだっただけに、その差はかなり目についた。
 
 全体的に、セネガルの選手は自分の後ろのスペースへの意識がそこまで高くなく、だからか相手に背後を取られるシーンが少なくない。この試合でも、特にモドリッチ、ラキティッチにはうまく守備網をかいくぐられ、そこからの素早いパスワークに手を焼いていた。
 
 とはいえ、セネガルがこのまま何の策もなく、猪突猛進し続けるわけがない。この日、15分から20分ぐらいまではまるでボールを奪取できないでいたセネガルだが、それを過ぎたあたりからは、攻守のバランスが取れてきた。
 
 ポイントは2つあった。マネを左サイドに回し、ニアングをトップ下へ移し、システムを4-2-3-1とすることで、中盤センターでの数的不利を解消した。また、プレスにいく位置を少し下げて相手の出方に対応するようにしたため、各選手が自分の対応する選手を整理しやすくなった。
 
 仕事内容が整理された時のダブルボランチ、A・エンディアイエ、ゲイエの2人は素晴らしい。彼らだけで中盤センターの守備を担えるだけの運動量とスピードと判断力、何より際立って高いボール奪取能力の高さを備えている。
 
 とはいえ、2人で全てをこなすことはできないし、周りの選手が2人に頼り切りとなり、変に中盤でぽっかりスペースができてしまうこともある。そして、相手FWへのプレスは勢いがあるが、パスコースを切ったり、狙いをもって追い込んだりというところでの完成度は、そこまで高くない。
 
 だから日本としては、我慢強く前へと出てくる相手をいなしながら、中盤でダブルボランチを誘い出し、その背後のスペースに侵入して起点を作れるような展開に持ち込みたい。そこから、SBの裏のスペースをうまく狙って、CBのクリバリをペナルティーエリアから引き釣り出す。そうすれば、大きなチャンスに繋げることもできるはずだ。
 
 特にセネガルは、ラインを下げる時に4バックと中盤のあいだに大きなスペースができることがある。オートマティックにそのスペース目がけてパスを送り、2列目から飛び込んで一気にシュートへ持ち込みたい。

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