東京五輪を目指すU-21日本代表において、２シャドーでコンビを組む三好康児（札幌）と三笘薫（筑波大）、この「三三（みみ）コンビ」の間には、ボールを通じた言葉以上に雄弁なコミュニケーションがある。お互いがボールに込めるメッセージを汲み取り合いながら、瞬時に作戦会議を行なってしまうような独特の関係性が匂い立つ。
 
「どこを観て欲しいとか、（相手が）観てくれているというのは、ずっと小学校から一緒にやっているのでお互いに分かり合っている。自分も薫の動きはしっかり観るようにしていますし、薫も自分の動きを観てくれている。そこはやりやすい」（三好）
 
　学年はひとつ違いながら川崎フロンターレの育成組織で育ってきたふたりだけに、バックボーンに持っているサッカー観も共通のものがあるのだろう。試合を観ていると、純粋にテクニカルな部分を含め、まさに相通じ合っていると感じさせる場面に幾度も遭遇する。
 
　６月７日に行われたトゥーロン国際大会７位決定戦・U-21トーゴ代表戦の決勝点も、まさにふたりの関係性が生み出したもの。40分ハーフの試合が折り返し点を迎えようかという前半終了間際のプレーだった。
 
　後方からのパスを巧みに引き出した三笘が前を向くと、三好は狙いを持って動き出す。ふたりの意図はしっかり噛み合っていた。次の瞬間、三笘から繰り出されたスルーパスにトーゴDFは反応しきれなかったが、三好はトーゴ守備陣の合間を縫うランニングで見事に最終ラインを突破。利き足とは逆の右足でパーフェクトなファーストタッチを決めると、突っ込んできた相手GKをしっかり視野に入れ、その上をチップキックでいなすようにボールを浮かし、見事にゴールネットをゆらす。
 
「結構、あれは得意な形」
 
　日本の背番号10は、そう言って笑みを浮かべた。結局、この１点が決勝点となり、日本は最後の試合を白星で飾り、帰国の途につくこととなった。
 
　今大会、三好の充実ぶりは明らかだった。三笘の個性が際立っていた印象もあるのだが、それは三好によって引き出されていた面が少なからずある。相手からすれば、この男をマークせざるを得ない。そう思わせるだけの存在感が確かにあった。

【U-21日本代表PHOTO】トゥーロン国際大会2018招集メンバー20人