【総体】立ち姿はまるで本田圭佑!星稜を全国に導いた新10番が大舞台での飛躍を誓う

2018年06月06日 安藤隆人

東京Vの下部組織で育ったレフティが過去2年の悔しさを乗り越えて…

石川県予選決勝では得意の左足から2ゴールを演出。有馬は10番の名に恥じない活躍を見せた。写真:安藤隆人

 6月4日に行なわれた石川県予選決勝では終始試合を優位に運び、3−0の快勝で7年連続27回目のインターハイ出場を決めた星稜。チームのナンバー10を背負ったMF有馬大勢(3年)にとって、今予選はこれまでの想いを表現する重要な場となった。

「高校進学を決める時、本田圭佑選手に憧れて、自分もそうなりたいと思って星稜進学を決めました」

 東京Vジュニアユースに所属していた有馬は、ユース昇格のオファーもあった。しかし、それを断り、本田の母校である星稜で技を磨くことを選んだ。

 本田と同じように利き足は左。星稜で攻撃の中枢を担ってプロ、そして世界のステージに駆け上がっていった偉大なる先輩に憧れを持って石川にやって来たが、待っていたのは思い通りに行かない日々だった。

 1年生の時は出番を掴めず、2年生となった昨年は春先こそレギュラーを掴んだが、インターハイ予選前に登録外に。インターハイ本戦ではメンバーに返り咲いたが、1度も出場すること無く終わってしまった。

 夏の悔しさを晴らすべく、選手権予選ではレギュラーを掴み取り、念願の全国へ思いを馳せたが、今度は選手権開幕直前に右足の第5中側骨を骨折。当然のように選手権メンバーから外れ、手術を行なった結果、復帰は今年の3月末となってしまった。

「1年生から試合に出るつもりで星稜に来たにも関わらず、ほとんどチームに貢献出来ないまま3年生になってしまった。本当に悔しいし、今年は絶対に悔いの無いように過ごしたい」
 
 これまでの想いをぶつける1年をスタートさせた有馬に渡された背番号は9番。しかし、インターハイ予選直前に10番に変わった。星稜の10番と言えば、かつて本田が背負ったエースナンバーだ。

「伝統がある星稜の10番とは、『絶対に試合に出続けて活躍しないといけない番号』だと思っています」

 迎えたインターハイ予選において、新10番は攻撃の中枢として存在感を発揮した。準々決勝の小松戦で1ゴール・1アシスト、準決勝の金沢学院戦でも3点目のゴールを得意の左足で沈めた。

 そして、決勝の相手は8年前に星稜の連覇を阻んだ古豪・金沢桜丘。開始早々の前半7分、有馬は右サイドでボールを持つと、左足でゴール前に正確なクロスを上げる。これはペナルティエリア内で味方と競ったDFにヘッドで弾かれるが、力なく山なりに浮いたクリアボールに反応したFW岩岸宗志(3年)がワントラップから右足を一閃。矢のような弾丸ライナーが左サイドネットへ鮮やかに吸い込まれた。

 1−0で迎えた後半5分には、右FKを得ると有馬の正確な左足のキックから、再び岩岸がヘッドで合わせ、試合を決定付ける追加点を奪った。

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