【日本代表】8年前の闘莉王を彷彿させる「長友佑都のある言葉」

2018年06月06日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

ベテランの矜持を示せるか

現実もしっかり見据えながら練習に励む長友。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 ゼーフェルト合宿での雰囲気は申し分ない。ここまで怪我人はなく、国内合宿では主に別メニューだった乾と岡崎も完全合流。国内合宿とは違って離脱者がひとりもいない状況はポジティブに捉えられるだろう。実際、長友も雰囲気の良さを肌で感じ取っているようだ。
 
「すごくチームの雰囲気も良くて、そこまで心配してないですけどね。すごく話せてるんで、今。もちろんまだまだ詰めなきゃいけないところはたくさんありますけど、状態としては良い方向に向かっているという手応えは感じています」
 
 ただ、「この手応えが全て結果につながるとは限らない」と長友は引き締める。そして「不安がないと言ったら嘘になります」とも。
 
 ポジティブなイメージを持ちながらも、長友は現実が甘くないことも知っている。「スイス戦もどういう形で行くか、4バックか3バックで行くのか、まだ分かんない」(長友)と言うように、なかなかチームの形が見えてこない状況も踏まえ、ワールドカップは厳しい戦いになることを長友は十分承知している。
 
「正直、ボールを支配したいですが、甘くはないと思います。ワールドカップは相手のほうがクオリティもフィジカルも上。その中で皆が引いてブロックを作って守る時間はやっぱり増えると思う」
 
 ただ、焦りみたいなものがあるわけではない。
 
「自分的には相手にボールを握られていたとしても全然焦りはなくて、ちゃんと取りに行く場所、はめる場所をみんなが明確になっていれば、むしろそっちのほうが脅威になるかなと思っていて、自分たちが。でもやっぱり面子を見ても、ポゼッションはある程度はしたいなというところはあるんで、そこはちょっと今、いろいろ練習だったり、戦術も取り組んでますけどね」
 
 もちろん理想を追い求めるつもりはない。
 
「ブラジル大会の時は理想ばかりを追い求めてしまって、結局ワールドカップの舞台で失敗したじゃないですけど、結果が出なかったので。僕はそれを経験して、理想ばかりでは勝てないことを知った。とにかく自分たちが下手だということを、自分たちが強くないということをまずはしっかりと認めたうえで 自分たちにできるサッカーを1人ひとりが100パーセント出し切るって、ただそれだけかなと」
 

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