ベースなき西野ジャパン。システムの併用は迷いの表われか

2018年06月05日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

もっと根本的なところに問題があるのではないか

西野監督はここからどうチームを作り上げるのだろうか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 2018年6月4日、ゼーフェルトでの代表練習2日目にして紅白戦が行なわれた。そこで採用された主なシステムが4-2-3-1。前日まで使われていた3バックシステムを一旦棚上げしてところに、少なからず驚きを覚えた。偽りのない感想を述べれば次のようになる。
 
「今さら4バックをやってどうするの?」
 
 そもそも西野体制下になって戦い方が不透明。攻撃的なのか、守備的なのか、どの位置でプレスに行くのか、少し引き気味に構えるのかなど、基本的な約束事が練習からではあまり見えてこないのだ。にもかかわらず、西野監督は6月12日のパラグアイ戦まで「3バックと4バック」を併用していくという。
 
 システムの併用と言えば聞こえはいいが、これは一種の迷いとも受け取れる。だから、こうも思う。いわゆるベースが固まってもいないのに、3バックだの、4バックだの、システムの話をしても意味がないのではないか、と。
 
 ガーナ戦でリズムを掴んだのは後半から。途中出場の柴崎が"鋭い縦パス"を入れるようになってからだ。"縦"にこだわったハリル流がそれまでの閉塞感を打破するきっかけとなったことは、なんとも皮肉である。
 
 ガーナ戦で3バックシステムが機能して勝っていれば、「じゃあ、これで行こう‼」と士気が高まっていたかもしれない。だが実際は、内容も結果も出ていない、文字通りの完敗だった。ああいう試合を見せられると、システムではなく、もっと根本的なところに問題があるのではないかと勘ぐってしまう。
 
 3月の代表戦もそうだったか、攻撃面に関してチームのアイコン的存在が見当たらない。コロンビア代表ならハメス・ロドリゲス、セネガル代表ならサディオ・マネ、ポーランド代表ならロベルト・レバンドフスキというような、絶対的支柱が日本には欠けている。このところ代表戦でゴールから見放されている本田、レギュラーかどうかも分からない香川も現時点で信頼できるかと言えば疑問符が付く。
 
 強いて言うならそれは大迫なのだろうが、彼の特長を活かすアタックが構築されているわけではない。「できれば攻撃的に行きたい」と西野監督は言っていたが、どう攻撃的に行くのかのビジョンが伝わってこない。もちろんメディアにあれこれ説明する義務などない。ただ、このままでは本当に奇跡という不明瞭なファクターにすがるしかなくなってしまう。
 

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