【U-21代表】北米の難敵から貴重な同点弾!三笘薫の"異才"はいかにして磨かれたのか

2018年06月04日 川端暁彦

独特の間合いで仕掛けるドリブルは世界の舞台でも十分に通用した

グループステージ3節のカナダ戦では後半頭から投入され、試合の流れを変えただけではなく、ゴールまで奪ってみせた。写真:佐藤博之

【トゥーロン国際大会・グループステージ3節】U-21日本代表 1-1 U-21カナダ代表/6月3日/トゥーロン

 小気味良く刻むドリブルのリズムは一種独特のモノがある。相手との間合いの測り方も特徴的で、緩急の作り方も容易にマネできそうにはない。U-21日本代表MF三笘薫(筑波大)のプレーには、そうした独特の味わいがある。

 特に初めて対峙するDFにとっては、何とも厄介な選手だろう。トゥーロン国際大会で彼の対面となった各国の守備者も、ちょっと戸惑っているように見えた。

 一方で、三笘は「弱点」も分かりやすい選手だった。筑波大1年生の時に、選抜チームで彼を指導することになった流通経済大の大平正軌コーチは、「ボールを持てば本当に抜群。でもそれ以外、特に守備は……」という個性を目の当たりにし、「どうしたもんか」と大いに迷ったそうである。

 こうした時に「できないこと」を理由に選外とすることは容易だが、元より「大学サッカーを選ぶ選手は何か足りないところがある」という認識が大平コーチにはある。筑波大の小井戸正亮監督とも率直に感じたことを話し合いながら、選抜チームでも三笘自身の意識が変わるように促し、「大学サッカー界として一緒にタレントを育てていく」ことを狙ってきた。

 まだまだ守備力や攻から守への切り替えスピードには課題も残っているが、かつてより大きく進歩しているのは異論のないところ。攻撃面でのオフ・ザ・ボールの意識も確かに変わった。突出した個人技を試合の流れの中で活かすことも、よりできるようになってきた。

 森保一監督率いる東京五輪代表チームに呼ばれるようになり、それが刺激になっている効果も大きいのかもしれない。「残りたい」という意思を感じるプレーを見せている。そもそも、このチームに継続して呼ばれるようになったこと自体、三笘が進歩している証とも言えるのだが。  

 招集当初は「難しい」とも語っていた森保式の1トップ2シャドーのシステムに慣れてきた効果もあるのだろう。トゥーロン国際大会・グループステージの第3戦となったU-21カナダ戦では後半からの投入ながらすぐにリズムを掴み、川崎U-18の先輩である三好康児(札幌)とシャドーでコンビを組んで輝きを見せつけた。

「間(あいだ)で受ける」意識の高さは際立っていたし、もちろん最大の武器である個人技は健在。1トップに入る上田綺世(法政大)が徹底して裏を狙ってDFを押し下げるスタイルであることも、ディフェンスライン手前にスペースを必要とする三笘の個性と噛み合っている。

 三笘がマーカーをはがしてスルーパスを上田に通すパターンは、もはやひとつの形である。カナダ戦の同点ゴールも、上田がロングボールを呼び込んで相手を引っ張る中で、三笘が拾って巧みに決める流れだった。  

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