福島の有力校にJ入りも狙える逸材登場!勇猛果敢に仕掛けるレフティがブレイク間近

2018年06月04日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

尚志の上昇株が夏のインターハイでブレイクすれば…

課題も多いが、吉田の武器は明確だ。長所をさらに伸ばし、誰にも負けないストロングポイントを作り出せるか。(C) SOCCER DIGEST

 ポジショニングや技術では周りの選手に比べると劣るかもしれない。しかし、それ以上の魅力を持ったアタッカーが福島の有力校にいる。それが尚志の吉田泰授(3年)だ。
 
「今大会は使ってみようと思った」と仲村浩二監督が言うように、6月3日に行なわれた福島予選決勝の帝京安積戦では右サイドハーフで先発。右サイドから縦への突破と中央へのカットインで攻撃にアクセントを付けた。
 
 3-1のスコアでチームは9年連続でインターハイの出場権を獲得。そのなかで吉田は目に見える結果こそ出せなかったが、十分に存在感を発揮した。
 
 今でこそ吉田はチームに重要な役割を担っているが、新チームの立ち上げ当初はレギュラーではなかった。今年の尚志は伊藤綾汰(3年)と加瀬直輝(3年)の2枚看板が両サイドに君臨しており、春先に指揮官へ話を聞いた時も「両サイドはうちのストロングポイントになる」と語るほど。両雄の牙城を崩すのは容易ではないと見られていた。しかし、3月に自身の存在をアピール。シーズン開幕後も調子を維持し、徐々に出場機会を増やしていった。
 
 そして、迎えた今予選はボランチの坂下健将(3年)が負傷明けのため、左サイドハーフの伊藤をボランチで起用。その空いたポジションにブレイク間近のアタッカーが収まる形となった。
 
 そんな吉田の武器はボールを持ったら迷わず仕掛ける強気なスタイル。加えて、何度もアップダウンできる運動量も兼ね備えており、試合終了まで絶えず右サイドを縦横無尽に走り回ることが可能だ。守備面や戦術理解力では改善の余地を大いに残しているが、それを伸びシロと捉えれば、今後の可能性は無限にある。
 
 本人も課題を理解しており、さらなる成長に意欲を見せている。だが、今は自身の武器を磨く作業に注力しており、「もっと縦の突破や中へ入ってから右足でシュートを放てるようにしたい。必ずボールを持ったら、仕事をするプレーヤーになりたい」と長所を誰にも負けないレベルまでに引き上げるつもりだ。
 
 インターハイの本大会では、坂下もコンディションを万全にして戻ってくるだろう。そのため、定位置争いは今以上に激しくなる。まずは競争を勝ち抜かなければならないが、三重の地でインパクトを残せれば――。Jクラブのスカウトたちが動き出したとしても、何ら不思議ではない。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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