2シャドーの適任者・香川真司の”異能”はW杯で発揮されるのか

2018年06月03日 五十嵐創(サッカーダイジェストWEB)

「可能性は凄く感じている」香川は力強くそう語った

写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 西野体制の初戦となった30日のガーナ戦は、0-2で敗れた。結果もさることながら、初めて試した3-4-2-1は機能したとはいえず、前後半の立ち上がりという集中すべき時間帯での失点も雰囲気を重たくしている。このままではワールドカップで勝てない。誰もがそう思ったはずだ。
 
 ロシアの地で待ち受けるのは、コロンビア、セネガル、ポーランドといった強豪たち。いずれも日本より前評判が高い。フランスのサッカー専門誌『France Football』に至っては、「今回のワールドカップに出場する国の中でもっとも弱いチームのひとつに挙げられる」と我が国に対して手厳しい評価を下している。
 
 開幕2か月前の段階で監督の首を挿げ替えたのだから、それも仕方ないことだ。西野監督にはガーナ戦までの10日間のキャンプしか与えられず、なおかつ短期間でチーム作りと選手選考を進めなければならなかった。その作業のハードルの高さは、誰でも理解できる。ガーナ戦はそもそも、内容を期待できる試合ではなかったと言ってもいい。
 
 とはいえ、ワールドカップの初戦が間近に迫っている事実は動かない。拠り所になる形だけでも整えて挑みたいというのが、指揮官の本音だろう。攻撃ではどんなパターンを作るのか。守備の奪いどころはどこにするのか。チームの中心に据えるのは誰なのか。今はまだそうしたベーシックな部分すら見えていない。
 
 では、選手たちは、どう感じているのか。1日に囲み取材に応じた香川真司は、極めて前向きな姿勢でいた。「可能性は凄く感じている」。とりわけ、攻撃面に関しては、彼なりに見えているものがあるらしい。
 
「前半後半の最初の15分で失点したことは課題ですが、それ以上にピッチでは、攻撃の幅や質、バランスや距離感であったり、すべてにおいて新たな可能性を感じました。一見、(3-4-2-1は)守備的な考えになりかねないフォーメーションであるけど、同時に攻撃的にも十分なり得る可能性も見出せたので、それを試合のなかでうまく掴めれば、良い手応えを得られるんじゃないかと感じました」
 

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