【釜本邦茂】あんな単調な攻めでは、とてもじゃないけどワールドカップで点は取れないよ

2018年05月31日 サッカーダイジェストWeb編集部

4年前のサッカーに戻った感じがしたね

若きガーナ相手に良いところなく敗れ去った西野ジャパン。攻守ともに少なくない課題を残した。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 ガーナ戦はまったく良いところがなかったね。
 
 なんだか4年前のサッカーに似ている気がするのは僕だけかな。ハリルさんのサッカーからザッケローニさんのサッカーに戻った感じがしたよ。パスを繋いで繋いで、でも最後のところで取られて、そこからカウンターを食らってというね。失点はふたつとも日本の弱い部分が出た結果だった。お決まりのパターンみたいなものだ。
 
 なによりガーナ戦では、攻撃の意図が見えなかった。いったいどうやって点を取ろうとしているんだ? 中央を突破するのか、サイドを崩すのか、あるいはサイドから中へ入れて点を取るのか、それとも中央に当ててから裏を狙っていくのか。点を取る形というのはいろいろあるけど、なにを狙っていたのかね。
 
 たしかに長友や酒井はサイドで精力的だったし、いい形で抜け出す場面もあった。でも問題はそこからだよ。せっかくボールを入れても、真ん中がまるで呼応していないじゃない。エリア内にあれだけ敵の選手がいるんだ。安易にボールを入れたところで跳ね返されるのがオチで、よほどヘディングの強い選手じゃないと勝てないよね。


 
 そういったところをチームとしてどう捉えているのか。もっとサイドでえぐってマイナス気味のパスを送り、それを走り込んだ選手が蹴り込むとか、ゴールを奪うための工夫がまるで感じられなかった。リードされていて、相手が守備を固めている状況下であんなに単調な攻めをしていては、ワールドカップじゃとても点は取れないよ。パスをただ繋ぐだけじゃ崩れないのは、これまでもずっと学んできたはずじゃないか。
 
 まあ前線は急造だったから、ある程度は大めに見なければいけないところはある。ただ、西野監督がガンバでやってたパスサッカーを代表に持ち込もうと考えているのなら、絶対的なストライカーがいないと成立しない。ガンバにはいつもいたよね。アラウージョとかマグノ・アウベスとかバレーとか。確実に点を取れるターゲットがいたからこそ、遠藤や中盤の選手のパスセンスや個性が活きたんだ。いまの代表にはそんな存在がいない。だから点を取る道筋が見えない。トップにボールが収まらないから、シュートにまでもなかなか行けないんだ。
 

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