降格はしたけれど…ハンブルク伊藤達哉にスケールアップの予感が漂うワケ

2018年05月16日 了戒美子

決勝ゴールをアシストするも、時すでに遅し…

最終戦で伊藤はゴールを演出したものの、ハンブルクの降格は免れなかった。(C) Getty Images

 ブンデスリーガ1部残留を懸けた最終戦。降格圏の17位・ハンブルクはボルシアMGに勝利したものの、勝点2差で上を行く16位のヴォルフスブルクも勝利したため、クラブ史上初の2部降格が決まってしまった。酒井高徳と伊藤達哉はそろってフル出場し、それぞれ見せ場も作ったが時すでに遅し、だった。

 この試合は一旦追いつかれたあとにハンブルクが勝ち越したのだが、そのルイス・ホルトビーの決勝ゴールをアシストしたのが伊藤だった。63分、左サイドでボールを受けると、ペナルティエリア内からマイナスのパス。これをホルトビーが左足ダイレクトで決めた。 今季、ブンデスリーガ公式によれば伊藤は、これを含め2アシストしておりその両方ともホルトビーのゴールだ。

 ちなみにキッカー誌のカウントによれば伊藤のアシスト数は4で、ひとつは29節・シャルケ戦の52分、左からドリブル突破し二人のディフェンダーをかわしてラストパス。ホルトビーのシュートは相手ディフェンダーにあたり、それをもう一度押し込んだため公式ではアシストにはカウントされなかった、というもの。もうひとつは32節・ヴォルフスブルク戦の43分にPKを獲得したもので、キッカー誌はPK獲得もアシストにカウントするのだ。

 公式サイトによる、もうひとつのアシストは、やはり32節のヴォルフスブルク戦だった。立ち上がりから、ボールを受ければたびたび仕掛ける伊藤が、敵陣アタッキングサードでのドリブル突破を印象づける。だが後半アディショナルタイム、左サイドでいつものようにパスを受けると、ペナルティエリアに入ることなく、簡単に速いクロスを入れた。これを走り込んだホルトビーが、頭で合わせてネットを揺らした。ホルトビーとの連係は練習から意識していたのだという。

「あの形が好きで何回かチャレンジはしていたんですけど、ボールが上手くいかなかったり相手に当たっちゃったり、味方につながらなかったりだったんです。でも、試合であの状況で得点につながったので良かったです。決めたホルトビーにも『エンドリッヒ』ってドイツ語で『やっとだよ』みたいな意味なんですけど。『お前のボール、やっとこの形で決められたよ』って言われました」
 

次ページ伊藤はもはや単なるドリブラーではないことを証明した

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事