播戸竜二が今だから”黄金世代”に言えること――FC琉球で再認識したサッカーの本質とは

2018年05月03日 佐藤俊

一時は引退も考えたが、琉球からオファーが届き、播戸は沖縄に渡った

J3の琉球に新天地を求めた播戸は、兄貴分としてチームを牽引している。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 YS横浜戦の71分、肩をいからしてピッチに出て来た。
 
 煮えたぎるような闘争心を全身から発する姿は、紛れもなく播戸竜二。
 
 どこにいても変わらないなぁとホッとする。
 
 サッと駆け出し、FWのポジションに入る。周囲を見渡し、右サイドにボールが入ると左手を前に出し、ボールを呼び込む。ボックス内に出たり入ったり、何度もその動作を繰り返す。相手の視界からふっと消えて、飛び出す。20年間、続けてきた動きの質はスピードが少し落ちても衰えていない。
 
 今シーズン、播戸はJ3のFC琉球に移籍した。
 
 昨年はJ1の大宮アルディージャでプレーしていたが、リーグ戦出場はゼロに終わり、契約満了にともない退団。現役続行を目指してオファーを待ったが、ここ2年間でリーグ戦1試合しか出場していない選手に吉報はなかなか届かなかった。一時は引退も考えたが、琉球からオファーが届き、播戸は沖縄に渡った。
 
 札幌や大宮時代にJ2の経験はしているが、J3は初めての舞台。スタジアムが満員で華やかな舞台でプレーし、日本代表も経験してきた選手。この日、YS横浜戦が開催された三ツ沢は1285人。人が多ければ多いほど燃える男にとってはさびしい舞台ではあるが、昨年まで試合に出られなかった分、プレーを楽しんでいるように見える。
 
「沖縄、楽しいよ。街もいいし、過ごしやすい。サッカーは身体の部分では最初の頃は、昨年ずっと試合に出てなかったんで厳しい部分もあった。でも、途中からやけど全試合に出ているし、ちょっとずつ良くなっている感じ。みんな、技術があるし、やっているサッカーも楽しいんで充実してるね」
 
 播戸は、そう言って笑顔を見せた。
 
 琉球のサッカーは、攻撃的なパスサッカーだ。前線の富所悠、富樫佑太、中川風希らは技術が高く、見ていて単純に面白い。播戸もガンバ大阪のパスサッカーのなかで成長し、結果を出してきた選手だ。スタイルはフィットしている。
 
「パスサッカーじゃないと逆に無理やね。ロングボール蹴って走れ、はもうきつい」
 そう苦笑する。
 
 ただ、この試合もそうだったが、調子が一辺倒。ずっと同じテンポで攻め続けている感じで、試合の流れを読んで攻守のメリハリをつけているようには感じられない。攻めて、攻めて、簡単に失点して勝点を失っている。ちょっともったいない。

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