宇佐美貴史が明かす「ハリル解任への思い」と「恩師・西野監督とのとっておき秘話」

2018年05月01日 宇佐美貴史

さほど驚かなかった。「ああそうなのか」と

サッカーダイジェスト誌上で8年間に渡り連載中の「宇佐美日記」。今回はその最新版をお届けする。(C)Getty Images

 土曜日のブンデスリーガ2部・32節で、フォルトゥナ・デュッセルドルフは2-1の勝利を挙げて3ポイントを上積みさせ、来シーズンの1部昇格を確定させた。アウェーにまで駆け付けた大勢のサポーター、そして僚友の原口元気らチームメイトたちとともに喜びを分かち合った宇佐美貴史。年明けから大車輪の活躍を見せた、快進撃の立役者のひとりだ。
 
 そんな日本代表の至宝が、2010年から足かけ8年の長期に渡って続けている連載がある。『サッカーダイジェスト』誌で毎回心に響いた言葉をテーマに、本音と思いの丈を綴る「宇佐美日記」だ。時にシリアスに自己と向き合い、時に関西人らしいユーモアを交え、時に天才肌ゆえの独特のサッカー観を披露する。同誌と宇佐美自身が誇りとする人気コラムである。
 
 今回は、その最新版をお届けしよう。5月10日号に掲載された第132回では、愛娘の誕生を受けて子煩悩なパパぶりを覗かせつつ、ヴァイッド・ハリルホジッチ氏の解任劇、ガンバ大阪時代の恩師である西野朗新監督との貴重なエピソードを紹介してくれた。
 
 テーマに挙げたのは西野監督がかつて宇佐美に語りかけた言葉、「読むな」である。

 
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 3月26日に次女の桜が誕生した。
 
 嫁の蘭と長女の菫(すみれ)は昨年末から出産準備で帰国していて、出産の時には僕も立ち会えたらいいなと思っていたけど、日本代表に選ばれて帰国できず。でも蘭と菫が頑張ってくれて、桜を無事にこの世へ誕生させてくれた。いまはまだ蘭から届く動画や写真を見るだけ。この手で抱いていないぶん、実感が湧かないけど、菫にも思ったように、我が子ほど可愛いものはない。言い方はどうかと思うけど、どえらいクオリティーの高さ! ……って世の父親のほとんどが我が娘に対してそう思っているはずやけど(笑)。
 
 というわけで僕は犬とふたり? 二匹? でドイツでの生活を送っていますが、そこへ急に飛び込んできたのが日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督解任のニュース。ただ正直、さほど驚かなかった。
 
 もちろん、ハリルさんとは2015年に日本代表へ呼んでもらって以来、いろんなコミュニケーションを取ってきたし、日本代表で戦う面白さを教えてくれた人やから感謝はしている。でも、監督や選手にしてもどんなビッグネームだろうと、一瞬にしていまいる場所を奪われる時があるのがこの世界。だから「ああそうなのか」という感情しか湧いてこない。
 
 それに、誰ひとりとして日本代表へのメンバー入りが確約されていないと考えれば、選手の立場で代表監督の去就について語るのは違うと思う。それよりも自分がいまやるべきは、所属クラブで自らのプレーの質を高め、デュッセルドルフの1部昇格へ全力を注ぐことだけ……っていう思いで臨んだハイデンハイム戦(4月15 日)ではゴールこそ奪えたけれど、またしても勝てず悔しい思いを味わった。依然として上位をキープしているものの、気が抜けない状況が続いている。
 
 残り3試合では確実に個人、チームとして結果を残さなければいけないし、少しでも早く自動昇格圏の2位以内を確定させたいと思う(編集部・注/4月28日のディナモ・ドレスデンで勝利して昇格が決定)。

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