西野ジャパンの救世主に!齋藤学が醸し出す“何かをやってくれそう”感は異次元

2018年04月14日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

観ている者に特別な感情を抱かせてくれる希少な存在

右膝の大怪我から復帰した齋藤。前節・C大阪戦ではホームデビューを飾り、いくつかの好プレーを披露も、本人は「まだまだ」と満足はしていない。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 実に複雑な気分だ。
 
 川崎の攻撃、右から左へとサイドチェンジが飛ぶ。タッチライン際で背番号37が、フリーでボールを足もとに収める。揺さぶられた横浜守備陣がスライドするその間、わずか数秒かもしれないが、マイボールにしている選手が誰なのかを考えれば、そこから何が起きるのかと、期待に胸が膨らむ。
 
 ちょんちょん、とリズミカルにボールを動かしながら、対峙したDFとの距離を縮め、自分の間合いに持ち込み、タイミングを見計らって一気に縦に加速、もしくは鋭いカットインで中に切れ込む。
 
 齋藤学のそんなプレーを、横浜担当として何度も見てきた。どれだけ劣勢を強いられていても、マナブにボールが渡れば「何かをしてくれるのでは?」という期待感が高まる。
 
 誤解を恐れずに言えば、それがゴールにつながろうと、失敗に終わろうと、さして重要ではない。わくわく、どきどき。言うなれば、ただドリブルしようとしているだけなのに、観ている者に特別な感情を抱かせてくれる存在は、そう多くない。
 
 マナブはそんな希少な選手のひとりだ。
 
 昨年の9月23日の対甲府戦。トリコロールの一員としてピッチに立ったマナブは、右膝前十字靱帯損傷の重傷を負う。全治まで8か月。新シーズンは新天地・川崎で迎えてもリハビリは続いていたが、順調に回復していった。
 
 そして復帰戦の相手は、古巣の横浜だった。途中出場から、慣れ親しんだ日産スタジアムのピッチに降り立つ。約7か月ぶりの戦列復帰で、どれだけのパフォーマンスを見せられるのか。スコアは1-1の両者譲らぬ展開。横浜担当からすれば、やっかいな相手が出てきたと思う。だが、マナブにパスが届くことを強く期待してしまう。実に、複雑な気分だ。
 
 絶好調時のキレはないにせよ、ドリブルを仕掛ければ十分に脅威を与えていたし、際どいシュートも放った。
 
 試合後、久々に楽しませてもらったと伝えると、マナブは「敵になったからね」とニヤリ。元気そうで何よりだ。元チームメイトの中澤佑二は「良かったですよね。やっぱり、左サイドでああやってタメを作られると、どうしても、ふたり行かなくてはいけなくなるから。良い選手だなと改めて思いました」と称賛した。

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