昨季J3最下位からの快進撃!! 元日本代表の指揮官は現在首位の鳥取をいかにして変えたのか?

2018年04月13日 竹中玲央奈

目標は「勝点50、得点50・失点30」。互いに厳しく要求していくことで良い空気が生まれる

6試合を終えて暫定トップに立つ鳥取。昨季の低迷から見事な巻き返しを見せている。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 昨年のJ3で最下位に沈んだ鳥取が好調だ。6試合を終えて4勝2分で首位を走っているのだが、すでに前年度の勝利数に追いついた。
 
 昨季、京都U-18から鳥取にやってきた森岡隆三監督をそのまま続投させたが、選手は大幅に入れ替わった。露骨なまでの血の入れ替えが断行されたわけであり、そういった集団で序盤から結果を残していくことは簡単ではない。しかし、新加入選手と森岡監督の戦術やマネジメント力が非常にマッチし、今の鳥取には好循環が生まれている。
 
「勝点50、得点50・失点30。昇格を見据えての目標があって、そこに向かってお互い厳しく要求をする。それで良い空気がうまくできているかなと。そこに新加入選手、若いブラジル人の貪欲さもそうですし、それは日本人にも良い方向に向かっているかなと思います。またベテランのフェルナンジーニョの存在感はやはり大きいです。GK北野貴之のまとめる力も大きいですし、来てもらった選手もそうなんですが、"もっと上に行ってやろう"と。そういうところへの思いとチームに対する献身的なところは、しっかりとピッチで表現できているかなと思います」
 
 森岡監督が名前を挙げたように、Jリーグで様々な経験を積んできたフェルナンジーニョと北野貴之というふたりのベテランと、岡野雅行GMが自らブラジルへ渡って連れてきたレオナルドとヴィートル・ガブリエルという弱冠20歳のアタッカーの貪欲さが光る。そして大学時代に実績を持ちながらもJ3までカテゴリを落としてしまった可児壮隆、星野有亮らが秘める再起への思いもチームを躍進に導く要因となっている。とはいえ、向上心や気概だけで勝利を掴めるほどこの世界は甘くない。
 
 指揮官が求める戦い方をピッチにいる選手たちが吸収し、体現できていることがこの結果につながっている。
 
「去年の岐阜みたいにできたらそれは良いでしょうけど、繋ぐときは繋ぐし、なんせ前線にすごい武器がいるので、そっちを使ったほうが、というのもある。戦い方、イメージとしては分けてやっています」
 
 今季、FC岐阜から期限付きで鳥取にやってきた甲斐健太郎は、チームの戦術についてこう語る。昨年より岐阜を率いる大木武監督はショートパス主体、ポゼッションを重視した攻撃を仕掛けていくことで有名だが、鳥取もその岐阜に近いトレーニングをしていると明かしてくれた。
 

次ページチームスタッフは森岡監督の「モチベーターとしての能力」を絶賛。

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