【松木安太郎】遅すぎた監督交代…日本サッカー協会の見通しの甘さは否めないけど、もう腹をくくるしかないね

2018年04月09日 松木安太郎

ハリルホジッチ監督とすれば、いきなり解任を言い渡されたような印象を受けたかもしれない。

7日付で日本代表監督を解任されたハリルホジッチ。本人もショックを受けただろう。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 このタイミングでの解任は正直、びっくりしたよ。ハリルジャパンが問題を抱えていたのは事実だけど、ワールドカップまで2か月しかないからね。次の監督にバトンを渡しても、準備する時間があまりに短い。監督を代えるなら、もうちょっと早い段階だったというのが率直な感想だ。
 
 実際に、もっと前に監督を代えるタイミングはあったと思う。昨年9月の最終予選・サウジアラビア戦で負けた時や11月にブラジルとベルギーに2連敗した時。E-1選手権で韓国に1-4で負けた時もそうだね。
 
 それに、もしも以前から監督交代という選択肢が浮かんでいたのであれば、3月のベルギー遠征の内容にも疑問符が付く。あそこでハリルホジッチ監督にノルマを課していれば、また違った結果が出ていたかもしれないからね。
 
 あの2試合のハリルホジッチ監督の采配を見る限り、勝ちにこだわった様子はなかった。それよりも、テストに当てていた雰囲気だったよね。強化部と監督の間でどんなコミュニケーションを取っていたのかは分からないけど……ハリルホジッチ監督とすれば、いきなり解任を言い渡されたような印象を受けたかもしれない。驚いたと思うよ。
 
 今までの日本の歴史を振り返ると、ワールドカップ毎に強化方針が変わっているイメージがあるよね。2010年の南アフリカ・ワールドカップでは、手堅く守備を固めて一発を狙うサッカーだったけど、2014年のブラジル・ワールドカップは「自分たちのサッカー」といってポゼッションに舵を切った。そして今回のロシア・ワールドカップに向けては、「縦に速い」や「デュエル」を重視した堅守速攻で来ている。4年周期で強化方針が変わって、上手く蓄積を活かせていないんだ。
 
 日本はベスト8以上という目標を掲げて準備してきたにも関わらず、今回はまさかの大会直前での監督交代。要は上手くいかなかったわけだから、プランニングの甘さは否めないよ。今まで過ごしてきた期間はもったいなかったと感じるね。
 
 後任の西野朗監督は、チームを一番近くで見てきたという意味で、ベターな人選だろう。逆に言えば、このタイミングで監督を代えるのなら、協会内部からしか選べなかったのかもしれない。
 
 ただ、近くで見てきたといっても、2か月という短期間で戦術を浸透させるのは相当にハードルが高い。ワールドカップまでのテストマッチは、あと3試合しかないし、登録メンバーの締め切りまでとなると、5月30日のガーナ戦しかないんだ。
 

次ページこうなった以上は選手の刺激になって良い方向に進むのを見守るしかない

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