「川澄効果」は早くもピッチ内外に! 高精度クロスと人間力がなでしこJを活性化する

2018年04月02日 西森彰

ガーナ戦では高精度のピンポイントクロスを連発。

ガーナ戦で2年ぶりに代表のピッチに立った川澄は正確なクロスで次々にチャンスを演出した。(※写真は2016年リオ五輪予選)(C) Getty Images

「MS&ADカップ2018」対ガーナ女子代表戦の後半、なでしこジャパンのユニホームをまとった川澄奈穂美(シアトルレイン)が、約2年ぶりにピッチ上に姿を現わすと、トランス・コスモススタジアムに詰めかけた6,872人の観客から大きな拍手が送られた。
 
 61分、左コーナーキックのキッカーを務め、その流れの中でのチャンスに絡んで、足慣らしを終了。63分には、ガーナのディフェンダーがニアとファーに割れるところを狙い澄まして、右からクロス。岩渕真奈(INAC神戸レオネッサ)の決定機を演出する。
 
 74分にも岩渕を使ったショートコーナーから、川澄はファーサイドの阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)へ精度の高いクロスを供給。そのヘディングシュートからのこぼれ球を高木ひかり(ノジマステラ神奈川相模原)が代表初ゴールを押し込む。
 
 さらに83分、岩渕がスペースに出したボールに呼応し、またもや柔らかく正確なクロスを中央へ。これを鮫島彩(INAC神戸レオネッサ)が決める。自身のゴールこそ生まれなかったが、2年ぶりの復帰戦で、チームに幾多のチャンスをもたらし、シアトルレインでアシスト王に輝いた片鱗を見せた。
 
 もっとも、このゲームで高評価を与えること自体が、川澄に失礼だろうか。組織力をやや欠いたガーナの守備とでは、元値が違うのだから当然と言えば、当然だ。
 
 むしろ、相手のレベルやスコアに付き合うことなく、チームのモチベーションを保ち続けたことにこそ価値がある。変則的な動きでボールを引き出したり、単純に裏を狙ったり、先入観にとらわれることなく、状況に応じてなすべき仕事をやり続けた。
 
 そうした姿勢はチームメイトに共有されたし、大勢が決しても最後まで士気を保ち、高倉麻子監督就任後の最多得点記録を「7」にまで伸ばす原動力にもなった。
 

次ページチーム内に明るい雰囲気をもたらす。

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