【日本代表】ポジション別検証/FW編/杉本はハリル戦術の犠牲者に。本田は今なお…

2018年03月29日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

大迫の代役は現時点で見当たらない

ウクライナ戦は守備に追われた印象がある杉本。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 CFはもはや大迫勇也で決まりだろう。今回のベルギー遠征で日本がもっともスムーズな攻撃を展開したのはマリ戦の試合序盤だった。大迫のポストプレーを活かして右ウイングの久保裕也やトップ下の森岡亮太がDFの背後のスペースを狙う。これこそ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が求める崩しの形のひとりであり、これを成立させるうえで大迫は必要不可欠だということが改めて証明された。
 
 もちろん、その大迫に得点がないのは気掛かりだが、現状でこのアタッカーの代役は見当たらない。残念だったのは、昨季J1の得点ランキングトップの小林悠と同2位の杉本健勇が揃って沈黙したことだ。
 
 2試合とも途中出場した小林はマリ戦で同点ゴールに絡んだとはいえ、ウクライナ戦では味方との呼吸が合わずチャンスを作れなかった。エリア付近で何度も動き直しているが、良いタイミングでパスをもらえず不完全燃焼に終わった。
 
 ウクライナ戦で先発出場した杉本は立ち上がりからハイプレスをガンガン仕掛けると、後半になってガス欠。本来ならなによりゴールを目指すべきストライカーが守備に忙殺されてしまうとは……。ある意味、杉本は相手ありきというハリル戦術の犠牲者と言えるかもしれない。守備に追われたからか、杉本は仕掛けや崩しの局面でやや動きが鈍く、後方からのボールにも合わせられなかった。前線の基準点になれなかった点も含め、厳しい結果に終わった。
 
 マリ戦で左右のウイングを任された久保と宇佐美貴史もどちらかと言えば微妙。宇佐美自身も「アピールできたとは思っていない」とコメントしていたとおり、ゴールに絡めなかった点でポジティブな印象を残したとは言い難い。久保に関しては、途中出場したウクライナ戦での終了間際の決定機逸が悔やまれた。アグレッシブな仕掛けが悪くなかったからこそ、あそこで決めていれば……。
 
 久保と同じリオ五輪世代では、中島翔哉が活躍。代表デビュー戦となったマリ戦でいきなりゴールを奪うと、続くウクライナ戦でもアグレッシブにゴールを狙い、終了間際にもFKから直接際どいシュートを放った。今回の遠征でもっとも評価を高めたのがこの中島で、大きなアクシデントがないかぎりワールドカップの登録メンバー入りは堅いだろう。
 

次ページ縦一辺倒ではなく、攻撃の幅を広げる意味では…

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