“仮想ポーランド”のウクライナ戦で見えた収穫と課題。主砲レヴァンドフスキだけを抑えればという次元では…

2018年03月28日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

ポーランド戦はマンマーク気味のディフェンスだと厳しい

3トップの一角を担った原口も良い形でシュートに持ち込めなかった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 マリ戦以上に個の勝負で太刀打ちできず、明らかに力負け。もっともお粗末だったのが、ウクライナの左サイドに対する守備だ。右SBの酒井は立ち上がりからミスを繰り返し、何度も裏を取られた挙句、69分には対峙したコノプリャンカ(シャルケ)にあっさりかわされて失点の原因になった。
 
 マンマーク気味の形で守る今の日本代表は、ひとりのマークがずれた途端に脆くなる傾向がある。実際、69分の場面ではウクライナに数的優位な状況を作られた。酒井に続き山口もコノプリャンカに抜かれたせいで、日本の右サイドからゴール前にクロスを入れられた時点で「4人対6人」という局面になり後手に回ったのだ。
 
 マークが剥がされた原因は、ウクライナのサイドチェンジに対応できなかった点にもある。先制された際も横の揺さぶりにほとんど反応できず、最終的にフリーのラキツキー(シャフタール)に豪快なミドルを決められた(結果はオウンゴール)。
 
 ボランチコンビの長谷部と山口もフィルター役としてあまり機能せず、敵カウンターへのリスクマネジメントにも課題は残った。要するに、この日はチームの基盤となる守備が崩壊したわけだ。ウクライナ以上にサイド攻撃とカウンターの切れがあるポーランドとの戦いを想定した場合、マンマーク気味のディフェンスでは厳しいかもしれない。局面によっては人数をかけてベタ引きするなど臨機応変さが求められる。

 いずれにしても、ポーランドの主砲レヴァンドフスキだけを抑えればいいというレベルではない。どの選手も地味に上手かったウクライナ戦のように、ポーランド戦でも守備のあらゆる局面で苦戦を強いられる可能性が高い。
 
 一方で攻撃陣も低調だった。先発した3トップ(本田、杉本、原口)の総シュート数が0本では……。ポジティブに映ったのはセットプレーから槙野の同点弾を演出した柴崎、際どいシュートを2本放った中島の働きくらいで、マリ戦に続き出番があった小林も持ち前の得点力を発揮できなかった。
 
 この日は本田のタメを活かしてバイタルエリアまで迫るシーンもあった。本田が中盤までおりてきた"一呼吸"入れてくれることは、守備陣にとってはファインプレーだった。事実、長友もこの背番号4の貢献についてポジティブに語っていた。

「裏を狙うだけじゃなくて、(本田)圭佑みたいにおりて、味方を助ける。プレッシャーがかかっている時に裏に抜けられても、ディフェンダーがそこに蹴るのは難しい。そういう状況でもああやって、勇気のある選手がタメを作って、ファウルをもらって時間を作ってくれた。それは本当に最終ラインから観ていて助かった。
 
 マリ戦でも圭佑が入ってリズムが出ていた。タメを作ってくれるから、サイドバックも中盤も最終ラインも押し上げることができる。地味だけど、チームに与える効果は絶大だと思う。
 
 全部が全部裏を狙うだけじゃなくて、ボールを保持して、時間を作って、その間に良いポジションが取れて、少し休むことができてというサッカーをオプションとして持っておかないと。やっぱりしんどいですよね。
 
 圭佑はサイドで起点を作ってくれていたし、別に本田圭佑だからとか、戦ってきた戦友だからといって皆さんの前で話しているわけではなくて、実際に(メディアの皆さんも)上から観ていて感じたと思うんですよね」
 

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