所詮、日本の実力はこの程度なのか。“仮想セネガル”のマリ戦で見えた課題と収穫

2018年03月25日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

問題は2軍に近いマリに好勝負を演じてしまった点にある

同点ゴールを決めた中島の働きは数少ない収穫だが、チームとしては……。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 そもそも"仮想セネガル"だったのか。マリはエースのバカリ・サコら主力数人が負傷のため不在で若手主体のメンバーだった。ワールドカップ本大会で戦うセネガルより数段レベルが落ちる相手で、果たして参考資料になったのかという疑問がまずある。

 問題は、2軍に近いマリに好勝負を演じてしまった点にある。立ち上がりは何度か決定機を作りかけたが、そこでゴールを奪えずプレースピードが落ちると、前半終了間際に右SBの宇賀神友弥のファウルで与えたPKから失点。後半は前半以上に稚拙な攻撃を繰り返し、途中出場の中島翔哉の同点弾で追いつくのが精いっぱいだった。

 いくらテストを重視したメンバーだったとはいえ、そこは言い訳にできないだろう。そもそも、この段階でチームがそこまで固まっていないところも大きな問題点のように映る。
 
 なにより酷かったのは、代表デビュー戦でミスを連発した宇賀神のパフォーマンス。皮肉な形で、"不動の右SB"酒井宏樹(マルセイユ/右足負傷で不参加)の重要性が浮き彫りになってしまった。
 
 槙野智章と昌子源の両CBは組み立ての局面で消極性が目に付き、ボール捌きに長けた吉田麻也の不在を痛感させられた。4バックの最終ラインで及第点だったのは長友ひとりで、選手層の薄さを露呈する結果となった。
 
 大島僚太が34分に負傷交代した中盤は、主将の長谷部誠が60分にベンチへ下がって以降、ほぼ機能しなかった。いずれも途中出場の山口蛍と三竿健斗は展開力に欠け、守備面では個の勝負で劣勢を強いられた。中盤に限らず、1対1の局面でアフリカンパワーに屈してしまったのは大きな課題だろう。
 
 ポストプレーでタメを作った大迫、A代表デビューで初ゴールを決めた中島の働きは数少ない収穫だが、チームとしてはとても褒められた内容ではない。
 
 所詮、日本の実力はこの程度なのか、少なくともマリ戦の出来から判断するかぎり、そう落胆してしまう。マリ戦の前日会見でのヴァイッド・ハリルホジッチ監督の言葉──「(本大会で)我々は突破の候補ではない」「幻想的な夢を抱かないようにしたい。まずはグループリーグ突破を目指す」「ブラジル、スペイン、フランス、ドイツのように欲張りであってはいけない」──が、深く胸に突き刺さる。
 
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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