宇佐美&原口の「復活の舞台」デュッセルドルフで学んだ元日本代表・黒崎久志氏が語るドイツ式指導術

2018年03月22日 塚越 始

練習メニューは日本とそこまで違いはなかったが…。

ドイツでの経験を話してくれた黒崎氏。今後いかなる形で自身のキャリアに活かすのか楽しみだ。写真:塚越始

 鹿島、新潟、大宮などで活躍した元日本代表ストライカーの黒崎久志氏が8月31日から12月までの約4か月、日本サッカー協会の指導者海外研修プログラムでドイツに"武者修行"した。アルビレックス新潟の監督、そして大宮アルディージャのコーチを務めた黒崎氏は、日本代表の宇佐美貴史と原口元気が所属し、2部で首位を行くフォルトゥナ・デュッセルドルフをメインに練習を視察。その合間にチャンピオンズリーグ、ブンデスリーガ、さらにドイツ代表など30試合以上を現地観戦し、欧州の最先端を体感する機会となった。

 
 10月以降、週に3、4日はデュッセルドルフの練習を訪れ、監督歴30年目を迎える大ベテラン、64歳のフリートヘルム・フンケル監督のチームマネジメント術を学んだ。
 
「現在のドイツでは数多くの30代の若手監督が1部リーグのトップチームを率いていて、その最先端の戦術や解析などを採り入れた取り組みが注目を集めています。ただ、1部ではバイエルンのユップ・ハインケスさん(72歳)、そして2部はドュッセルドルフのフンケルさんと、いずれも大ベテランの監督が率いているチームが首位を走っている。それはとても興味深いことです」
 
 戦術や論理など、ドイツサッカーは欧州の中でも先端を行っていると言われる。しかし、「結果」を残しているのは百戦錬磨の指揮官だった。
 
「理論はもちろん現在とても大切ですが、それでも経験に優るものはない、という展開になっています。サッカーって、答えがあるようでないと言われます。その難しさと面白さを感じますね。最後の本当に大切な勝負どころでは、経験がものを言い、勘が大切になるのかもしれません」
 
 練習メニューは日本とはそこまで違いはなかった。ただ、練習に向けて、選手・スタッフ全員の意識を集中させる、そして目的を明確にする。その徹底ぶりは勉強になったという。
 
「そこは日本と全然違うと感じました。単純ではありますが、『勝つため』『点を取るため』という目的にこだわり、逆算して練習メニューを組み立てます。『シュートを決める』『取らせない』『ボールを奪いに行く』。基本的な部分ではありますが、そこからチームを作っていく、スタイルを構築していく印象を受けました」
 

次ページ宇佐美は力を最大限に発揮できるまで「半年ぐらいかかる」と言われていた。

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