開幕から4戦無敗でリーグ3位!好調エスパルスが快走できたワケ

2018年03月20日 前島芳雄

仙台戦の前半30分過ぎまでは、理想的な展開だった

4節終了時点で3位の清水。新監督を迎えて好スタートを切っている。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 4節・仙台戦を1-1のドローで終えた時点で、2勝2分、得点8・失点4(得点はリーグ最多)。昨年14位の清水が、無敗でトップ3に食い込んでいる。その好調さの理由はどこにあるのだろうか?
 
 今季の清水を率いるのは、昨年7月から広島の監督を務め、古巣をJ1残留に導いたヤン・ヨンソン監督。今季、好スタートを切れているのは、まずは新監督の手腕によるところが大きいと言える。特に注目したいのは、昨年と比べて守備が非常に安定しているところだ。
 
 ヨンソン監督の守備戦術は、DFの4枚と中盤の4枚で縦にも横にもコンパクトなブロックを作り、その中に縦パスを通させないことを徹底しているのが特徴だ。それが機能すれば、相手の守備陣は前線の選手にパスを通そうとしても出しどころがなくなり、無理な縦パスを出せばインターセプトされてカウンターを食らうリスクが増える。
 そのため徐々にロングボールやハイボールを蹴るしかなってくるが、それは平均身長185.25センチの4バックがきっちりと跳ね返し、機動力のある中盤の4人がセカンドボールを回収して速攻を発動する。
 
 また、エースのクリスランも含めてチーム全員が惜しみなくハードワークしているのも守備の安定を支えている。全体がボールサイドに寄ることで生まれる逆サイドのスペースにサイドチェンジを通されても、全員が即座に反応して横にスライドし、守備ブロックに隙間を生じさせないあたりにも、意思統一がしっかりとできていることが表われている。
 
 さらに新たなディフェンスリーダー、ファン・ソッコ(元韓国代表)の頼もしさも、他の選手が思い切って働ける安心感を与えている。
 
 そんな清水の守備が上手くはまっているときは、相手は自分たちの形を作れず、逆に清水の速攻が小気味よくチャンスを生み出していく状況になる。仙台戦の前半30分過ぎまでは、まさにそんな展開だった。

 ヨンソン監督は就任当初から「良い雰囲気のチームを作りながら共通理解を高めていきたい」と語ってきたが、上から教え込むようなスタイルではなく、選手の自主性やモチベーションをうまく引き出しながら仕事を進めていることも、清水に合っているようだ。

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