名波浩監督が"教え子"の川辺駿に厳しいひと言。その真意がアツかった

2018年03月19日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「日本を代表する選手になってほしい」

名波監督は川辺に期待しているからこそ、厳しい言葉をかけた。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ4節]広島 0-0 磐田/3月18日/Eスタ
 
「お前、全然ボールに触っていないな」
 
 スコアレスドローに終わった広島対磐田の試合後、磐田の名波浩監督は広島の川辺駿にそう言葉をかけた。3年間指導して自分の手元から離れた教え子に対し、厳しい言葉のようにも聞こえるが、そこにはリスペクトと愛情があった。
 
 この試合、磐田は"川辺対策"を講じた。その内容を川辺は直接、"敵将"から告げられたと明かす。「名波さんに言われました。自分のところに入らないようにとか、前向かれた瞬間にプレッシャーに行くとかをやられた」
 
 また、磐田の最終ラインを統率する大井健太郎も「試合前からハヤオの良いところはすごく警戒していて、注意していた。抑えられました」と話しており、広島のキーマンとして川辺への警戒は徹底されていた。それは実力を認めているからこその"リスペクト"と言えるだろう。
 そのため、名波監督は愛情を込めるように次のようにも語っていた。

「(抑えられたのは)彼もよく分かっていると思う。ゲームのなかでの存在感という面で、彼はもっともっと輝けるはず。彼にはよりいっそうの努力と輝きを求めていいんじゃないかなと思う。日本を代表する選手になってほしい気持ちはもちろんあるし、サンフレッチェのスタッフ、我々ジュビロのスタッフもそう考えている。順調に伸びてほしいなと思う」
 
 川辺に期待をしているのは磐田の指揮官だけではない。広島の城福浩監督も同じだ。

「いつも通り守備はしっかりやってくれた。そのなかで、ビッグチャンスに絡めそうなシーンはいくつかあった。彼がパサーになったり、最後(フィニッシャーとして)受けたり、彼に期待をするところの精度はある程度見せてくれた。ただ、彼はもっともっとできる選手。守備は崩れていなくても、攻撃をもっと(高めたい)という時に、彼がスイッチになってくれる選手になってほしい。もっと高い要求をこれからしていく」
 
 川辺にとって名波監督は「今日も試合後にアドバイスをもらった。自分のことを良く知ってくれている人。3年間、良いことも悪いこともあったけど、ともに成長させてもらった」指揮官だ。現所属の城福監督だけでなく、お世話になった恩師のためにも「もっと活躍しなければ」と力強く意気込んでいた。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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