エイバルはなぜレアル・マドリーに善戦できたのか? そして今の乾貴士に求められるのは…

2018年03月15日 中村僚

マドリー戦で起きた“現象”を紐解く。

マドリー戦では攻守で果敢なプレーを見せた乾。そんな日本代表MFを中心としたエイバルはマドリーを追い込んだ。 (C) Getty Images

 3月10日(現地)、リーガ・エスパニョーラ第28節のエイバル対レアル・マドリー戦は、2-1でマドリーが勝利した。
 
 随所で戦術的に興味深いシーンが見られたなかで、筆者が気になったいくつかの"現象"を紐解いていこう。
 
 まず、ペドロ・レオンが怪我から復帰し、右SBにアンデル・カパ、右のボランチにゴンサロ・エスカランテが起用されたエイバルの先発メンバーからは、チームが「昨シーズンまでの形に戻った」ということが読み取れた。具体的に解説しよう。
 
 P・レオンは、ホセ・ルイス・メンディリバル監督に鍛えられたとはいえ、ポジショニングも甘く、対応も軽いため、守備力は決して高くない。
 
 その負担をカバーするのが、カパとエスカランテだ。どちらも前方に向けてエネルギーを持ったプレーができ、P・レオンが抜かれた後、素早くプレッシャーをかけに飛び出せる。マドリー戦では、序盤にこの2人が高い位置でボールを奪う場面が数多く見られた。
 
 では、P・レオンが機能する瞬間とは? それはチームがボールを奪った後だ。高い位置に攻め残ってフリーでボールを持ち、独力で持ち運んで正確なクロスを供給し、決定的なシーンを演出する。それが彼の役割である。

 そんなP・レオンが復帰した一戦では、乾の動きにも変化が見られた。
 
 全体的に陣形の重点が右に偏り、攻守ともにエイバルから見て右サイドからの展開が多くなるなかで、普段よりも中に入り込む場面が増え、横方向の動きが増えた分、運動量も多かった印象だ。
 
 ちなみに、以前に『サッカーダイジェストWeb』で言及した乾の守備力も、P・レオンがいたから身についたという背景がある。
 
 右が攻撃の起点になることから、左はバランスを取るために、守備に参加しなければならない。当初は守備に課題を抱えていた乾だが、年々、その課題を克服している。

次ページ試合の流れを変えたジダンの采配。

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