新生サンフレッチェの旗手! 切り込み隊長・柏好文が描く広島のポジティブな未来

2018年02月28日 寺田弘幸

「去年にはなかった姿を開幕戦で見せられた」

開幕の札幌戦でティーラシンの先制ゴールをアシスト。柏が広島に勢いをつけた。写真:徳原隆元

 城福新体制の初陣となった広島の開幕戦は、期待と不安が入り混じるなかでキックオフの笛を迎えたが、グイグイと攻撃を引っ張る柏好文が、重苦しい雰囲気を突き破っていった。
 
 パトリックとティーラシンの2トップとの関係性を意識しながら、背番号18はゴールへ向かって次々とアクションを起こしていく。ドリブルでひとりを剥がす打開力だけでなくダイアゴナルに走って2トップを追い越す動きも織り交ぜた柏は『切り込み隊長』という形容がふさわしいプレーぶりを披露。28分には札幌守備陣のゴール前の守備が疎かになっていた瞬間を見逃さず、突破ではなくクロスを選択してティーラシンのJ初ゴールを演出する。札幌守備陣をかき回した柏は、確かな戦術眼も見せて札幌に決定的なダメージを負わせた。
 
 その前半のプレーには本人も大きな手応えがあったのだろう。試合後は充実した表情でひと仕事を果たした自負を覗かせた。
「相手にとって一番嫌なのがゴールに直結していくプレーだし、ムイ(ティーラシンの愛称)が引いてきてパトが背後に出る2トップの関係性にプラスして、僕だったり(川辺)駿が出ていくという感じで間のポジションも取りつつサイドを攻略できた。得点シーンも幅と厚みを使いながら一番相手にとって嫌なところを突いて仕留めるっていう作業ができたと思う」
 
 ただ、後半はほぼ一方的に札幌に攻められた中で背番号18も存在感を失った。多くの課題も露見するゲームともなったが、柏は「素晴らしい90分だった」と試合を総括している。
 
「押し込まれることがあるのもサッカーだと思うし、そういう時間帯が少ないに越したことはないけど、割り切ってしっかりと勝点3をもぎ取ることができた。勝たないことにはどんなにいいサッカーをしても評価してもらえないし、多くのお客さんを喜ばせることもできない。決してきれいなサッカーではなかったかもしれないけど、それでもしっかりと勝点3を掴み取るっていう、去年にはなかった姿が今年の開幕戦で見せられたとこは良かったと思う」
 

次ページ甲府時代の恩師・城福監督のもとで今季は副将を任される。

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