[若手スピードスター分析(2)]エムバペの速さと迫力はあのフェノーメノを彷彿

2018年02月27日 ロベルト・ロッシ

爆発的なスピードを活かして一気にゴールに迫る。

キリアン・エムバペ
●所属クラブ:パリSG
●代表チーム:フランス代表
●生年月日:1998年12月20日
●身長・体重:178cm・73kg

 一瞬のアジリティーや爆発的な加速で違いを作り出す「スピードスター」は、いつの時代もフットボールに熱狂を誘う存在だ。その新世代と言えるレロイ・ザネ(マンチェスター・C)、キリアン・エムバペ(パリSG)、ウスマンヌ・デンベレ(バルセロナ)、クリスティアン・プリシッチ(ドルトムント)という4人のヤングガンは、それぞれどんな特徴を持っているのか。現役イタリア人監督が各々を徹底分析する。第2回は新天地パリSGでも際立った輝きを放つエムバペだ。
 
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 今回分析した4人はいずれもサイドアタッカーで起用されているが、その中では最も「ストライカー度」が高い。というよりも、エムバペにとってはCFこそが本来のポジションだ。今シーズンから所属するパリSGでは、そのスピードとダイナミズムを活かしてサイドアタッカーとして機能して生粋のCFであるエディンソン・カバーニと共存し、ネイマールを含めたヨーロッパ最強のトリデンテを形成している。
 
 178センチという身長は現在の基準からすればやや低いが、体格は筋肉質でとくにその太い両脚には爆発的なパワーが秘められている。アジリティーやクイックネスでは他3人に及ばないものの、一旦スピードに乗ってからの加速と伸びは他の追随を許さないレベルにある。
 
 爆発的なスピードを活かして一気にゴールに迫るそのプレースタイルは、かつて「フェノーメノ」と呼ばれた元ブラジル代表のロナウドを彷彿させるものがある。現時点ではロナウドほど規格外の怪物ではないが、その絶対的なポテンシャルは、リオネル・メッシ、クリスチアーノ・ロナウドに続く新世代の中で頂点を争うグループの一員に相応しいレベルにある。
 
 より「ストライカー度」が高いというのは、フィジカル的な特徴だけでなくそのテクニックやプレースタイルも、よりフィニッシュにフォーカスされているから。1対1の突破も常にゴールに向かうベクトルを持っており、またドリブルだけでなくオフ・ザ・ボールでスペースをアタックする動きもレパートリーの重要な部分を占めている。

次ページスピードと並ぶもうひとつの武器は――。

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