ヘディングの達人、秋田豊が戦慄を覚えた「5大エアバトラー」は誰だ!?

2018年02月15日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

「斜めうしろから来られると、どうしても届きにくい」

現役時代、空中戦で無類の強さを誇った秋田氏だが、忘れじの強者がいたようだ。ヘディングの世界は、奥が深い。写真:田中研治

 元日本代表の秋田豊と聞けば、サッカーファンはどんなイメージを抱くだろうか。
 
 鹿島アントラーズで栄華を極め、キャリアの終盤は名古屋グランパス、京都サンガでプレー。日本代表としてはあの「ジョホールバルの歓喜」のピッチに立ち、2度のワールドカップ出場を果たした。日本サッカーの歴史にその名を残す守備者の代名詞は、やはりヘディングだろう。現役時代に何度もJリーグや代表ゲームで取材したが、ほとんど打ち負かされたシーンを見たことがない。

 
 そんなレジェンドが、渾身のDVDを完成させた。タイトルはずばり、『実践ヘディング 上達メソッド』。日本初となるヘディングに特化したトレーニングDVDで、対象はなんと小学校低学年からプロ選手まで。あらゆるカテゴリーのフットボーラーに向けて"名手"が極意を伝授してくれるのだ。相変わらず屈強なボディーを維持する男は、「現在の日本サッカーの一番の弱点はヘディング。ワールドカップでも親善試合でもクロスからの失点が多く、クロスからの得点が少ないと感じています。だからこのDVDを作ったんです」と、想いを明かしてくれた。
 
 となるとぜひ訊きたいのが、秋田豊にとっての「空のライバルたち」だ。Jリーグや国際試合で筋金入りのエアバトラーと対峙してきた。はたして無敵を誇った支配者が圧倒されたストライカー、あるいは戦慄を覚えたターゲットマンはいたのか──。
 
 開口一番、飛び出した名前が「アリ・ダエイ」だった。「本当にきつかった」と苦笑しながら、こう言葉を続ける。
 
「いちばんはあの圧倒的な高さ。ただでさえ190センチちょっとくらいあるのに、加えてジャンプ力が凄いときている。で、身体も強いもんだから、普通に真っ向からヘディングの勝負をしたらそうとうに厳しかった」
 
 こちらは180センチ。だから、知恵を働かせた。「ダエイのジャンプ力を利用して、身体の上に乗っかってヘディングをしてる感じ」と、跳躍のタイミングや身体の巧みな使い方でフィジカルの差をカバーしたのだ。好きにはさせなかったが、イラン代表と雌雄を決したジョホールバルでは逆転ヘッドをねじ込まれた。マーカーは秋田だった。
 
「ああやって斜めうしろから来られると、どうしても届きにくい。DVDの中でも説明しているんですけど、競り合いにおけるポイント。いまの日本代表の弱点でもあります」
 

 

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