【柏】極寒の韓国で国内屈指のスピードスター・伊東純也が得た教訓とは何か?

2018年02月14日 鈴木潤

「凍っているピッチでやったのは初めてだった」

ACLデビューとなった全北現代戦。柏では初のアジアの舞台で、伊東が感じたこととは?(C) Getty Images

[ACLグループステージ1節]全北現代 3-2 柏/2月13日/全州
 
 前半で2点のリードを奪いながら、後半だけで3失点。柏は痛恨の逆転負けでACLは黒星スタートとなった。

 
 ACLプレーオフのムアントン・ユナイテッド戦と、ちばぎんカップの千葉戦の2試合で全得点に絡んだ伊東純也は、自身初挑戦となったアジアの舞台で感じたことをこう述べている。
「凍っているピッチでやったのは初めてだったし、難しさがあった。相手がどうというよりは、環境の違いを感じた」
 
 韓国の全州市は試合前日まで氷点下を記録し、試合前日には雪も降った。当日になり雪はやんだものの、19時30分キックオフのナイトゲームの寒さにピッチは凍りついていた。
 
 ムアントン・U戦、千葉戦の2試合でハイパフォーマンスを見せていた伊東には、全北戦でもサイドを疾走してチャンスメイクやゴールに絡む活躍が期待されたが、伊東が「今日はサイドに開いて足もとで受けた場面は一度もなかった」と振り返ったように、伊東が全北の左SBキム・ジンスと1対1になる局面は皆無だった。ただ、それは伊東が相手に抑えられたというよりは、柏がチームとして伊東を活かす攻撃の形へと持ち込めなかったところに大きな原因がある。
 
 柏は4度目のACL出場も、大谷秀和、クリスティアーノ、キム・ボギョンを除くほとんどの選手にとってACLは未知の領域。また、下平隆宏監督もACL初采配だ。難しいアジアのアウェー戦、しかも"韓国最強王者"の全北がJリーグにはない強度のハイプレスをかけ続けてくる。初めてACLを体感する選手たちにとっては、おそらくJリーグを戦うような精神状態にはならなかったのだろう。
 
 特に後半は、2点のビハインドを跳ね返すべく圧力を強めてきた全北のハイプレスと激しい球際のバトルで後手に回り、従来の丁寧なビルドアップでプレスを回避するどころか、クリアをして逃げてはセカンドボールを拾われ、2次攻撃、3次攻撃を浴びてしまった。そこに凍ったピッチ状況も相まって、柏は本来の姿で全北と対峙することができず、その結果、伊東にドリブルを仕掛けさせる得意の形へ持ち込めなくなった。柏の最大の武器である"右サイドの翼"は、機能不全に陥った。

次ページ手痛い逆転負けは喫したが、引き換えに教訓も得た。

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