今季の大久保嘉人は「組み立てもやる!」 新たな役割を受け入れたワケは?

2018年02月04日 江藤高志

通算200得点を達成したいと意気込む一方で、ゴールにこだわらない。

浦和戦では2本目から登場した大久保は、ゲームメイクも積極的に担当。新たな役割をこなしてみせた。写真:江藤高志

 川崎フロンターレが沖縄での8日間の合宿を2月3日の浦和、海邦銀行との練習試合で打ち上げた。試合形式は浦和と45分を3本、海邦銀行と45分を1本。
 
 リーグ連覇、ACL優勝を目指す今季の川崎において、とりわけ注目されるのが大久保嘉人であろう。移籍したFC東京からわずか1年で復帰。ブランクの短さもあり、すぐにチームに溶け込んでおり実力者ぶりを見せつけている。
 
 その大久保は、1−2で終わった1本目には出場せず、2本目からピッチに登場。3本目の33分ごろまでプレーした。この間ゴールこそなかったが、選手の入れ替わりに合わせてポジションを左右のサイドハーフ、トップ下、トップと代え、2本目の4-1、3本目の1−0の結果に貢献した。
 
 その大久保は、ゲームの組み立てに関わることに積極的な意味を見出している。この浦和戦でも、必要とあらば中盤にポジションを下げて前線にパスを供給する役目を買って出た。この点について大久保は「オレが前におると、間に誰も居なくなってしまう」と話す。中村憲剛がいれば、その役割はかなりの部分で任せられるのだが、憲剛不在の時に誰が入るのかという問題が浮上する。居ない時に「オレが下がるしかない。そこでバランスを取りたいですね」という。
 
 大久保はシュート力はもちろん、パスセンスも高いものがある。彼が中盤に降りることで、前線へのパス供給力が高まるのは間違いない。ただし、それは彼がゴールから離れることを意味する。その点について大久保はどう考えているのか。
 
 今季中にJリーグ通算200得点を達成したいと意気込む大久保にとって、シーズン21点はノルマのような数字だ。ただ、その一方で過去に得点王を3度獲得しているが、そこにはこだわらないとも言う。
 
 移籍を決意した2016年シーズンまでの大久保は、自らのゴールでチームを勝たせてきたという強い自負を持っていた。チームを勝たせたいからこそ、より強くゴールを求めていた。
 
 ところが大久保が移籍した川崎は、小林悠が一本立ちし、得点王を獲得してリーグ制覇に貢献。大久保不在でもチームは優勝した。おそらくはそうした事実が彼のスタンスの変化を生んでいるのだろう。

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