ポステコグルー体制で横浜はどう変わった? 伊藤翔もPA内のポジティブな変化を歓迎

2018年02月04日 藤井雅彦

J2徳島戦は苦戦も「上手くいかないこともプロセスのひとつ」と言い切る。

今季から横浜の指揮を執るポステコグルー監督。伝統的に守備をベースに戦ってきたチームに、自身のカラーである攻撃性を融合できるか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 アンジェ・ポステコグルー監督は信念を貫く。
 
 監督就任会見で掲げた通り『アタッキング・フットボール』をチームに落とし込むため、日々のトレーニングに臨んでいる。石垣島での1次キャンプと宮崎で行なっている2次キャンプは、いずれも土台作りに多くの時間を割いている。

 
 トレーニングではショートパスの精度とスピードにこだわり、ボールを前方向に進める意識付けを行なっている。ポゼッションサッカーにおける基本中の基本だが、目指すスタイルの根幹となる要素だけに疎かにはできない。GKがフィールドプレーヤーに混ざって練習する機会も多く、後方からのビルドアップをどれだけテンポ良く実行できるかが大きなポイントだ。
 
 3日には今季初のJクラブとの対外試合として、J2・徳島とトレーニングマッチを実施。しかし相手のハイプレッシャーに苦しみ、思うようにボールをつなげず。シャドートレーニングとは違い、パスルートの確保に悪戦苦闘した。その結果、精度を欠いたミドルパスが増えてボールロストの回数が増えてしまった。
 
 そんな状況になっても指揮官は一切動じない。「上手くいかないこともプロセスのひとつ」と言い切り、チームの現在地を把握する作業に努めている。今はあくまでチームの大枠を作る段階で、指導の効果が現われるにはそれ相応の時間が必要かもしれないが、それも織り込み済みということだろう。
 
 システムに関しては「このキャンプは4-3-3で行くつもり」と明言しているが、布陣にこだわっているわけではない。前述した大枠作りの一環で、基本となるスタンスを築いているに過ぎない。2トップや3バックを採用する可能性は残されており「一番大事なのは自分たちのスタイルを固めること。それができてから、どのシステムで戦うかを考えていく」という言葉からも、指揮官が開幕に向けて焦っている様子は微塵も感じられない。
 
 横浜は継続路線を貫く考えで新監督を招聘し、昨季の主軸の多くが残留した。そもそもエリク・モンバエルツ前監督も日々のトレーニングからポゼッションを志していたが、結果的にチームの強みである両ウイングを強調していたに過ぎない。したがってチームとして目指す場所が大きく変わることはない。

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