浪速の至宝、宮本恒靖はガンバ大阪の近未来をどう見据えているのか

2018年01月25日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

サッカー人生においてもっとも苦難に満ちた…

初めてトップチームのコーチを務め、昨季に続いてU-23監督も兼務する宮本。大忙しのシーズンが始まった。(C)SOCCER DIGEST

 宮本恒靖にとって2017年シーズンは、試練の連続だった。ひょっとしたら、サッカー人生においてもっとも苦難に満ちた1年だったかもしれない。
 
 J3を戦うガンバ大阪U-23の監督に抜擢されたが、与えられた環境は実に特異だった。本来はトップチームと連携を図りながらチーム運営と選手起用を進めていくところを、クラブの方針により完全に切り離され、まるで単体チームのような活用を余儀なくされたのだ。
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 トップチームに軸足を置く選手であれば、J1で試合に出れなくてもU-23チームに回ることがほぼない。明らかな悪循環である。必然的にU-23チームは少人数での活動を強いられ、ユースチームから随時高校生を引き上げてJ3を戦った。練習場も吹田の天然芝はなかなか使用させてもらえず、遠い堺グリーンや近郊のグラウンドを間借りする日々。それでも闘将は、愚痴ひとつこぼさなかった。
 
「どちらかと言えば、育成の側面が強かったですね。成績のところもやるかぎりはたくさん勝ちたいと思っていたけれど、思うような結果は得られなかった(17チーム中16位)。それこそ春先は選手たちにサッカー観の話とかしていたし、本当にいろいろ探りながらでしたよ。でも、夏場くらいから戦い方が見えてきて、最後は6戦負けなし(2勝4分け)で終えられました。与えられた環境で、こういうメンバーでこういう戦い方をすればこういう結果につながっていくんだ、というのは見えた1年ですね」
 
 さすがは、とんでもない個の集まりだったジーコジャパンを束ねていたキャプテンだ。スタッフらの意見を集約し、選手やチームの状況を的確に把握しては、ポジティブな方向へと舵を切っていく。レンタルで北海道コンサドーレ札幌からやってきたMF中原彰吾(今季はV・ファーレン長崎でプレー)は、U-23で頭角を現わしてトップに引き上げられ、新卒入団のMF高宇洋、MF髙江麗央、ユース所属のGK谷晃生、MF芝本蓮といった新鋭たちが日進月歩の進化を続けた。
 
 そして迎えた新シーズン、ガンバは昨季の失策を反省し、レヴィー・クルピ新政権の下でトップチームとU-23の再融合を決定。宮本はU-23監督とトップチームのコーチを兼務することが決まった。
 
「まだどういう形になっていくかは分かりません。スタートはトップもU-23も一緒にやりますけど、レヴィーの考えが変わっていくかもしれませんから。いろいろ動いていくなかでなにかが見えてきたら、その時々で話していこうと言ってもらいました。選手は38人ですからね。監督もまだイメージできていない部分はあるでしょうし、キャンプで見極めてからになると思います」

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