「プラチナ世代って騒がれたけど…」小島秀仁が振り返る浦和時代の後悔と愛媛での日々

2018年01月17日 佐藤亮太

「周りが見えてくると、点も取れるようになった」

千葉のトレーニングウェアに身を包んで練習を行なう小島。新天地でのプレシーズンが始まった。写真●佐藤亮太

 1月15日。陽が暮れかける午後4時半。J2ジェフ千葉の練習場・ユナイテッドパークにはJ2愛媛FCから加入したMF小島秀仁がいた。
 
 サーキットメニューなど、約2時間のメニューをこなすなか、小島のある変化に気付いた。数人の選手が関わりながら、ボールを動かすパス練習の際の動き。弓を射るようにパスを出しては、即座に味方からのリターンをすっと収める。何気ない一連の動きは、確実に以前と違っている。
 
「ただ止まってボールを受けたり、ボールを出しただけで終わりにせず、常に動きながらプレーすること。ここを意識している」
そう小島は答えた。
 
――◆――◆――
 
「いくつかオファーがあるなか、千葉が一番、早く声をかけてくれた」
 1月7日に行なわれたジェフ千葉の新体制会見。J1昇格の戦力として千葉に迎えられた自信とやる気に小島は満ちていた。
 
 2009年のU-17ワールドカップに出場し"プラチナ世代"と呼ばれた小島は、2011年に前橋育英高からJ1の浦和レッズに加入。14年1月、当時J1の徳島ヴォルティスに期限付き移籍し、翌15年に浦和に復帰したものの、同じ年の7月にJ2愛媛FCに完全移籍。そして今季、千葉の一員となった。
 
 今回の移籍は愛媛FCでの日々が評価されたことは間違いない。
 
 小島は愛媛に加入した15年7月から17年シーズン終了までリーグ94試合に出場。さらに、昨季はキャプテンに就任したことで、プロとしても人としても大きく成長できた。
 
「チームのために何ができるか、考えるようになった。すると周りが見えてくると、点も取れるようになった。試合中、どの選手がどこにいるのか、感覚的配置も分かるようになった」
 
 この姿に愛媛のチームメイトであり、かつて浦和に所属したMF小池純輝は「口数が少なく、プレーで引っ張るタイプ。それは昨年、ボランチながら6点取れたことにも表われている。年齢的にも中堅なので先輩の様子を見ながら、うまくまとめていた」と語った。
 
 これに小島は「逆に年上の選手からは"いま雰囲気が悪いから練習前に集まって話し合ったほうが良い"と教えてくれて、いろんなことを学べた」とずいぶん助けられたようだ。
 
 実績。役割。振る舞い――。カテゴリー、成績に関係なく、必ず誰かが見てくれる、そう思わせる千葉への移籍となった。

次ページ「僕は遅咲きですから」。小島は、そうつぶやいた。

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