【広島|新体制】「15位にいるチームじゃない」懸案ポジション強化で輝きを取り戻せるか

2018年01月15日 中野和也

「広島は15位のチームではない」

広島の新加入選手発表に臨んだ6人の選手たち。即戦力となる選手を堅実に補強した。写真:川本 学

 ブラジル全国選手権得点王のジョーが加入した名古屋や大久保嘉人、斎藤学という2人の「大駒」を獲得した川崎、さらに内田篤人が戻ってきた鹿島と比較すれば、広島の補強は地味に映るかもしれない。ただ、内実は充実している。

 
 補強の主眼となったポジションは「ストライカーとワイドだ」と足立修強化部長は言う。実際、昨年の広島はボール支配率やシュート数などではリーグ上位の成績を残していた。大宮から加入した和田拓也が「広島は15位のチームではない。対戦していても、このチームがどうして残留争いをしているんだろうと思った」と言っているように、クオリティそのものは決して低くない。
 
 なのに、それが勝利につながらない要因には、チャンスを決める力がなかったことがまず挙げられよう。二桁得点はアンデルソン・ロペス(退団)ひとりで、2位は柴﨑晃誠とパトリックの4点。平均得点0.94。クラブ史上初めて平均得点1点台を割り込んだシーズンとなり、リーグでも15位。得点力がそのまま順位と同じとなった現状を考えれば、ストライカーを求めるのは当然だ。
 
 獲得したのは、J2で23得点を叩きだしJ2日本人得点王に輝いた渡大生とタイの英雄であり、タイ代表での絶対的なエース、ティーラシン。特にティーラシンは昨年のACLで鹿島や川崎から見事なゴールを叩き込み、実力は証明済み。この2人に加え、巻き返しを期す工藤壮人や右足前十字靱帯損傷という大怪我から復活し、終盤には残留を大きく引き寄せるゴールを決めたパトリック。もし彼らが自らのベストパフォーマンスを発揮したとしたら、間違いなく強烈な破壊力を有することになるだろう。
 
 ストライカー色の強い工藤壮人と渡大生はどちらもコンビネーションでゴールを陥れるタイプだが、ポジション取りと駆け引きで勝負する工藤に対し、渡は自ら強引な突破も仕掛けられる。ティーラシンはポストプレーだけでなくスルーパスも上手い。元U-22日本代表DFの青山直晃が「間違いなく天才」と評価するタレントだ。さらに足の怪我が癒えた今季のパトリックは、かつてG大阪で見せた圧倒的な強さと高さ、裏に抜けるスピードや運動量を発揮してくれるはずだ。
 

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