【選手権】GK転向から1年で2試合連続完封の離れ業!190センチの守護神、その名は「相澤ピーター・コアミ」

2018年01月03日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

1年生の冬にGK挑戦を決断。

GK転向からわずか1年という相澤だが、経験の浅さを感じさせないパフォーマンスを発揮。写真:末永裕樹

[高校サッカー選手権2回戦]日本文理2-0旭川実/1月2日/NACK
 
 どでかいニューヒーローが現われた。
 
 日本文理のゴールを守る相澤ピーター・コアミだ。思い切りのいい飛び出しでピンチの芽を摘み、1回戦の立正大淞南戦(2-0)に続いてクリーンシートを達成すれば、正確な左足のフィードでFW亀山来駆の2点目をアシスト。インターハイ8強の旭川実を破り、新潟県勢初の「初出場で2勝」という快挙達成に貢献した。
 
"らしさ"が見えたのは、2点をリードして迎えた試合終了間際のプレー。エリア外からの敵のシュートを、なんと左足で足下に収めたのだ。こぼれ球を狙ってFWが迫ってきていたため、やや危なっかしい判断にも思われが、本人は至って冷静だったようだ。
 
 というのも、実は1年前まではフィールドプレーヤーで、主にFWを務めていたのだ。子どもの頃から何度もGKへの転向を勧められ(実際にゴールマウスを守った経験も何度かあった)、日本文理に入学後もコーチからコンバートを持ち掛けられたが、なかなか踏ん切りがつかなかったという。
 
 GK挑戦を決心するきっかけとなったのは、1年生の冬。前回大会の開幕戦で、同学年の関東一の北村海チディが活躍する姿を見て、ようやく「やってみたい」という気持ちが芽生えた。
 
 それからわずか1年――。持ち味のシュートセーブを武器に正守護神の座を手にした相澤は、初の舞台となる選手権で堂々たるプレーを披露している。もうフィールドプレーヤーへの未練は一切ない。
 
 ガーナ人の父と日本人の母を持つハーフで、際立つのは190センチの上背だ。それでいて、最終ラインの裏のスペースをカバーする動きは俊敏で、キックの精度も低くない。
 
「(旭川実は)繋いでくるチームなので、ディフェンス陣に指示を出してどう動かすかを考えた」と語ったように、大声を張り上げて味方にコーチングをする姿を見ると、まだGK経験が1年とはとても思えない。
 
 目標とするGKは、柏レイソルの中村航輔。理由は「メンタルの強さがプレーに出ているから」だそう。また試合前には、バルセロナのマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンやマンチェスター・ユナイテッドのダビド・デ・ヘア、ミランのジャンルイジ・ドンナルンマといった世界トップクラスの守護神たちの映像を見て、モチベーションを高めているという。
 
 「将来の夢は?」という問いには、「プロになって、家族に恩返しがしたい」と力強く答えた。まだ2年生で伸びしろは計り知れないだけに、その可能性は十分にあるだろう。
 
取材・文●江國 森(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
 
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