【選手権】この借りは1年後に返す! 驚異的なペースで化け続ける、関東一の超逸材コンビ

2017年12月30日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

「最後は自分が決める、怖い選手になりたい」(小関)

自慢の左足を駆使し、随所で質の高いプレーを披露した小関(7番)。最終学年となる来季の捲土重来を誓った。写真:徳原隆元

[選手権開幕戦]佐賀東 2-0 関東一/2017年12月30日/駒沢 
 
 夏の8強を超える躍進を目ざした関東一。だがその野望は、開幕戦でもろくもついえた。佐賀東のソリッドな守備に最後まで手を焼き、効率良く2点を奪われての黒星。シュート数は10対6と上回りながら、チャンスらしいチャンスはほとんど掴めなかった。
 
 試合後、涙ひとつ見せず悔しさを滲ませたのが、2年生の2枚看板だ。中盤で圧倒的な技巧とキープ力を披露しながら攻撃のタクトを振った小関陽星と、1年前の開幕戦で途中出場ながら衝撃的な活躍を見せ、この1年で関東随一の守護神へと成長を遂げた北村海チディ。前者が「自分が自分がの後半になってしまった。もっとサイドからのクロスで崩せばこっちの強みが出せた」と言えば、後者は「後半立ち上がりの失点で慌ててしまった。相手のペースに呑まれて、自分も修正の声をかけられなかった」と語り、苦虫を噛んだ。
【選手権PHOTO】1回戦 関東第一 0-2 佐賀東 注目の開幕戦は2得点の佐賀東が快勝
 
 複数のプロスカウトが動向を追う小関にとっては、日進月歩の進化を続けた1年だった。昨年度はサイドアタッカーとして自慢のドリブルを前面に押し出したが、今年度はボランチで起用される試合が増え、プレーの幅を格段に広げた。「(小野貴裕)監督はずっと、"頭"に指示を与え続けてくれました。技術よりも自分のサッカー感そのものが変わりましたから」と振り返る。この日も自身の判断で下がり目に位置取り、誰よりもボールを触ってはチェンジ・オブ・ペースを心掛け、佐賀東の堅陣に揺さぶりをかけた。流れを読む目が素晴らしい、途轍もないフットボールIQを持つ天才肌だと、あらためて感服させられた。
 
 だが本人は、手応えを感じながらも、早期敗退の事実を重く受け止める。
 
「自分はまったく緊張しないタイプで、いい入り方ができたし、ボールを持ったらぜんぜんやれるという自信も掴めた。でも、自分の名前を全国にもっと広めたいと思っていたし、優秀選手にも絶対に選ばれたかったから、こんなに早く負けてしまって本当に悔しい。もっとラストパスやシュートのところ、最後の局面で違いを作れる選手にならなければいけない。最後は自分が決める、相手にとって怖い選手になりたいです」
 
 高卒でプロに行くのが目標だときっぱり言い切る。3年生からは、「お前が引っ張ってやっていくしかない。この経験はデカいから、また戻ってきて頑張れ」とエールを贈られた。レアル・マドリーのMFイスコのプレー動画がお気に入りで、中学時代にプレーした町田JFCのOBで、現在川崎フロンターレに籍を置く小林悠を応援しているという。「過信じゃなく、全国でももっとやれると思ってます。(世代別の)代表にも選ばれるようになって、自分の長所がどこまで通じるのかを試してみたい」と、前を見据えた。

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