【現地発】バルサの番記者がクラシコの勝因を分析「チーム全員の頑張りが根底に」

2017年12月24日 エル・パイス紙

メッシ封じに躍起になった敵将に対してバルベルデは…。

PKを決めたあと、スタンドに向かって両手を広げる新たなゴールパフォーマンスを披露したメッシ。(C)Getty Images

 リオネル・メッシはゴールの収集家にして、名シーンの演出家でもある。

 ロスタイムに劇的な決勝ゴールを叩き込み、サンチャゴ・ベルナベウのスタンドに向かって背番号10のユニホームを掲げた昨シーズンのクラシコ(3-2で勝利)のゴールパフォーマンスは、まだ記憶に新しいところだろう。

 今回のクラシコでもメッシは、新たな名シーンを作った。

 PKを決めてチームメイトと喜びを分かち合ったあと、ひとりで相手のペナルティーエリア内にとどまったエースは、スタンドのファンに向かって深々と一礼。その後上体を起こすと同時に両手を広げ、みずからの存在をアピールするかのようなゴールパフォーマンスを演じたのだ。

 その瞬間、ベルナベウのスタンドからは大ブーイングが降り注ぎ、この日もまたメッシにスポットライトが集中した。しかし、今回の勝利はチーム全員で掴んだものであり、メッシはあくまでもその牽引役に過ぎなかった。

 今年8月のスペイン・スーペルコパで、マテオ・コバチッチをマンマークに付ける戦術でメッシ封じに成功したことに味を占めたジネディーヌ・ジダン監督は、この日も同様の作戦を採用してきた。今回はマンマークと表現するほど徹底したものではなかったが、メッシが"庭"とする敵の2ライン(DFとMF)間のスペースを封鎖する役割を、このクロアチア代表に託した。

 しかし、この作戦をバルサのエルネスト・バルベルデ監督はある程度織り込み済みだったという。

「相手がレオ(メッシの愛称)にマンマークを付けてくるか、中盤を厚くしてくるかわからなかった。だから、そのふたつの状況を想定してゲームプランを立てた」

 メッシ封じに躍起になった敵将ジダンに対し、バルベルデはあくまでもチーム全体のバランスを重視して試合に臨んだ。しかし前半については、「まったく自分たちのプレーをさせてもらえなかった」と劣勢を認め、さらにこう続けた。「相手がハイプレスを仕掛けてくることは予想していたが、われわれはそれを封じる術を見出せなかった」。

 実際に前半のパス成功数は、マドリーの262本に対してバルサは250本と下回っている。しかし、そんな劣勢の中で光ったのが、選手全員のインテンシティーの高さだ。そのハードワークの甲斐あって、バルベルデが「徐々にチャンスとゴールシーンを作れるようになった」と振り返ったように、バルサは状況を立て直していく。

 アンドレス・イニエスタが頭脳的なプレーを披露すれば、イバン・ラキティッチとセルヒオ・ブスケッツも粘り強いプレーで中盤を支配。なかでも特筆すべき活躍を見せたのが、パウリーニョだ。オーバーラップを仕掛けるセルジ・ロベルトのカバーリングに奔走したかと思えば、タイミングよくゴール前に飛び出し、メッシのクロスから際どいシュートを放つなど縦横無尽にピッチを動き回った。

 さらにその中盤が突破されても、最終ラインにはこの日も最後の砦としてマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンが君臨。ジェラール・ピケとトーマス・ヴェルメーレンの両CBも、終始安定したディフェンスを見せた。

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