「プレーが噛み合っていない部分も…」在日Jリーガー3選手が語るハリルジャパンの印象

2017年12月11日 ピッチコミュニケーションズ

韓国人記者たちは「両チームの実力は拮抗していた」と口を揃えた。

日本をあと一歩のところまで追いつめたが、終了間際の失点に泣いた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 12月9日に味の素スタジアムで行なわれたE-1選手権の初戦で、日本代表は朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)に辛くも勝利した。決勝点は後半アディショナルタイム。今野泰幸が頭で落としたボールを、井手口陽介が冷静に決めた。まさに劇的な勝利だったが、逆にガックリと肩を押したのは北朝鮮のほうだ。
 
 奇しくも北朝鮮は、過去2度、日本で開催された日朝戦で、いずれも試合終了間際に決勝ゴールを浴びている。2005年2月に埼玉スタジアムで行われたドイツW杯アジア最終予選では大黒将志が、2011年9月のブラジルW杯アジア3次予選では同スタジアムで吉田麻也が後半アディショナルタイムに決勝点を挙げた。
 
 そんな経緯もあるからだろうか。井手口のゴールに北朝鮮代表はショックを隠せず、中にはピッチに座り込んでしまう選手もいた。ミックスゾーンに姿を現した選手たちの足取りも重かった。試合前には北朝鮮関係者から、「(選手たちは)在日Jリーガーから教わった覚えたての日本語で冗談を言い合うぐらい和やかな雰囲気です」と聞いていただけに、なおさらそのムードは重く、沈んで見えた。
 
 北朝鮮代表を率いるヨルン・アンデルセン監督も、試合後の記者会見で開口一番にこう語っていた。
 
「今日は運がなかった。本当に良い試合だった」
 
 ただ、現役時代にはブンデスリーガで得点王にも輝いた指揮官は、「日本のチャンスは1、2回しかなかったが、(北朝鮮は)4、5回は得点チャンスを作っていた。フィニッシュの精度が足りなかった」とも振り返っていた。内容では引けをとっていなかったと自負しているわけだ。
 
 実際、取材に来ていた韓国人記者たちも、「GKの中村(航輔)がチームを救ったと言えるほど、北朝鮮の攻撃は日本を脅かしていた」「両チームの実力は拮抗していた」と口をそろえていた。大会前、取材に応じた在日本朝鮮蹴球協会理事長で同国サッカー協会副書記長の李康弘氏は、「(北朝鮮代表は)他の3か国に引けを取らない実力を持っていると思いますよ。大口を叩けるほどではありませんが、東アジアのトップ4に入れる水準にはあるはずです」と言っていたが、その言葉通りの実力を示したと言えるだろう。

 北朝鮮代表の在日Jリーガー3人も、手応えを感じていた。

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