【現地発】リーガで首位を走るバルサ。“出来過ぎ”なのに物足りなさを拭えないのはなぜ?

2017年12月04日 工藤拓

崩しはメッシの突破力と閃きに頼りきりで。

メッシ(左端)は相変わらず異次元のプレーを披露しているが、ネイマールが抜けた攻撃陣は迫力不足が顕著だ。(C)Getty Images

 手堅い強さはあるけれど、どこか物足りなさを拭いきれない。

 今シーズンのバルサに対し、そんな印象を抱いている人は多いのではないか。

 リーガ・エスパニョーラは14節を終えて11勝3分け。好調の2位バレンシアが勝点5差で食らいついているものの、最大のライバルであるレアル・マドリーには8差、3位アトレティコ・マドリーにも6差をつけ、首位を快走中だ。チャンピオンズ・リーグ(CL)も5節を終えて3勝2分けの無敗で、最終節を前にグループ首位通過を決めている。

 ネイマールの電撃退団に始まった今シーズンは、多くの不安要素とともに開幕を迎えた。8月のスーペルコパでは宿敵R・マドリーに2試合合計1―5で完敗。ネイマールの穴埋めにも失敗し、唯一の大型補強となったウスマンヌ・デンベレはチームに馴染む間もなく怪我で戦列を離れた。そういった開幕当初の苦しい状況を考えれば、ここまでの成績は出来過ぎと言っても良いくらいだ。

 それでも今シーズンのチームから物足りなさを感じてしまうのは、過去数年と比べて攻撃面の迫力に乏しいからだろう。

 ポゼッションは安定し、プレスもよく効いている。リトリートした際のブロック守備も硬く、失点の数(7)は過去数年でもっとも少ない。その傍ら、アタッキングサードにおける崩しのプレーはリオネル・メッシの突破力と閃きに頼りきりで、他の選手たちが生み出す連携プレーや個人による局面打開は、ほとんど見られなくなっている。

 ネイマールの退団により左サイドからドリブルで切り崩すオプションは失われ、スピードと機動力を生かしたロングカウンターの威力も半減した。ネイマールほどの選手を失ったのだから、それは仕方のないことである。

 しかし、懸念材料はそれだけではない。

 まず、ルイス・スアレスの調子が一向に上がらない。太り過ぎなのか筋力が落ちたのかは分からないが、昨シーズンまでと比べて極端に動きが重く、接触プレーで踏ん張れず簡単にバランスを崩してしまう。そのため単独で仕掛けるプレーはもちろん、前線でボールをキープすることすらままならなくなっている。

 もともと期待されていなかったとはいえ、ジェラール・デウロフェウのパフォーマンスも予想以上に酷い。エルネスト・バルベルデ監督は左右非対称のシステムを考案してまで我慢強く右ウイングで起用しつづけてきたが、目を覆いたくなるようなボールロストは試合を重ねるごとに増えている印象だ。いまの彼は戦力として計算できないレベルにあり、1月に放出されても不思議ではない。

次ページ冬に大物クラックの獲得を断行するのか。

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