桐光学園戦のゴラッソで開いた扉… スピードスター伊東純也がA代表に初招集されるまで

2017年12月01日 鈴木潤

小中高と全国大会とは無縁だった。

J屈指のスピードを誇る伊東がついにA代表に初招集された。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 彼ほど"飄々"という言葉が似合う者もいない。取材対応では常に淡々とした様子で掴みどころがない。しかしその淡白な受け答えの中にも、言葉の端々には自信と負けん気の強さを感じさせる。普段は素朴で自分を飾らないが、一度ピッチに立てば、鋭利なスピードと巧みな足技を織り交ぜてマーカーを2人、3人と置き去りにする。こうしたギャップもまた、彼の魅力のひとつだろう。

 
 その柏の誇る"スピードスター"が、ついに日本代表初招集を受けた。
 
 日本代表まで上り詰める選手の多くが、10代の頃から所属クラブでひと際輝く活躍を見せ、年代別日本代表の招集も受けて将来を嘱望されるなか、伊東純也が歩んできた道のりは"エリート街道"と呼べるものではなかった。
 
 小学6年の時に受けた横浜F・マリノスジュニアユースのセレクションに落選し、横須賀シーガルズジュニアユースを経て、「家から近い」との理由で逗葉高へ進学した。小中高と全国大会とは無縁。ただ、武器であるスピーディなドリブルが活路を見出した。
 
 伊東の名が世に知れ渡るきっかけとなったのは、桐光学園との練習試合だった。試合は1-6で大敗したが、伊東は複数のDFをドリブルで抜き去り、ゴールネットを揺らすというインパクトのある得点を挙げたのだ。その時に放った輝きに目を奪われたのが大学のスカウト陣だった。いくつか声をかけられたなかから、伊東は実家から通学できる距離にある神奈川大を選択。伊東が頭角を現わすのは、大学時代である。
 

次ページ「最初に声を掛けてくれたクラブに入ろう」。そう決心していた伊東に真っ先に声を掛けたのは…。

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